刑務所名物“カンカン踊り”廃止の陰に「チクリ箱」

2013年01月13日 16時00分

 大阪刑務所で、通称“カンカン踊り”といわれる受刑者に行われる全裸検査が、一部の受刑者にはパンツ着用に切り替えられた。受刑者の待遇改善や刑務所内の透明化が加速する背景には“チクリ箱”の存在がある。

 全裸検査は、刑務作業の前後に受刑者が工具や備品の持ち込みや持ち出しを防止するために全裸になって、刑務官のチェックを受けるならわしだ。

 ヤクザ映画などでは、足を上げ、舌を出す光景がダンスのフレンチカンカンに似ていることから“カンカン踊り”とやゆされていた。

 ただ、2005年の監獄法改正に伴い「全裸検査は受刑者に屈辱的で人権的配慮に欠ける」として、徐々にパンツ着用に切り替えられてきた。それでも累犯者や暴力団の受刑者が多い施設では切り替えが進まず、一部で残っていた。

 大阪刑務所で検査方法が見直されたのは、刑事施設視察委員会から廃止を求める意見があったからだ。同委員会は各施設を外部からチェックするために弁護士や医師、地域住民などでつくられた第三者機関だ。

 元受刑者で作家の本間龍氏は「施設内での細かい決まりごとは各所長に委ねられている部分が大きく、法務省に文句を言っても動かない。施設内に投書ボックスがあって、受刑者は委員会に不満や意見を手紙で出せる。カギも委員会が持っているので、チクリ箱のようなもの」と話す。

 委員会は受刑者の意見を集約し、各施設所長に申し入れる。受刑者からは食事や風呂の回数などの改善や刑務官のパワハラ、医療態勢の充実などを訴える者が多い。過去には「相撲のテレビ放送が賭博対象になっているので中止してほしい」との告発もあったが「賭博行為は摘発に努めている。相撲視聴の希望者は多く、長年定着しているために中止できない」と却下されたケースもある。

 委員会と刑務所のやりとりは情報公開され「監獄法改正以前では考えられなかったこと。少しずつですが、受刑者の待遇改善は進んでいる」と本間氏は話している。