食べると長生きできる?タイ東北部の洪水で打ち上げられた幻の巨大ナマズ

2017年08月04日 11時00分

幻のナマズを捕獲した地元民(「サコンナコンTV」から)

【アツいアジアから旬ネタ直送「亜細亜スポーツ」】タイ東北部で洪水被害が広がっている。首都バンコク在住記者はこう語る。

「とりわけ激しいのはサコンナコン県。県庁所在地は場所により2メートルほどの濁流にのまれ、先月28日には空港も40センチ以上浸水した。LCCノックエアのフライトがキャンセルとなり、その後空港は一時的に封鎖。県庁エリアは少しずつ水も引きつつあるが、市内中心部の病院も浸水し、入院患者を上階に移すなどしている。停電も相次ぎ、街の機能はほとんど止まっている」

 県知事によれば「この20年で最悪の被害」で、地方の村では洪水や土砂崩れで道路や鉄道が遮断され連絡が取れない村がいくつかあるという。その原因とみられるのが貯水池の決壊で、100万立方メートルの水が市街地や村に流れ込んだ模様。同県以外にも、コンケーン、マハーサラカム、ブリラムなど東北を中心に19県で洪水、鉄砲水などの被害が拡大している。いずれも農業県で、田畑も浸水し収穫への影響は避けられそうにない。

「被害をもたらしているのは、東のベトナム沖から接近してきた台風8号。こっちでは『ソンカー』と呼ばれている。この時期インドシナ半島を襲う台風は、半島中央部のラオス山岳部で停滞し、周辺に大雨をもたらすことがある。タイ東北部も今回同様、たびたび被害に見舞われる」(前同)

 そんな中、サコンナコン県の現地メディアは、洪水に紛れ打ち上げられた巨大ナマズをSNSに投稿した。体長1・5メートルはゆうに超そうかという大物で、地元釣りマニアが興奮気味に話す。

「これはメコンオオナマズではないか。世界最大の淡水魚と言われ、体長3メートル、重さ300キロ級もいる。メコン河とその支流に生息しているが、絶滅危惧種に指定されている“幻の魚”。ダム建設で産卵場所が減ったのが原因らしい。それと、数が少ないレアものだからか、コイツの肉を食べると長生きできるって迷信があり、それが乱獲につながったとも」

 サコンナコン県を流れるメコン河の決壊は伝えられてないが、増水した支流が氾濫し、市街地に流されてきたとみられるこの幻のナマズ。タイでは捕獲が規制されているが、隣国ラオスやカンボジアでは食用として漁の対象になっていると言われる。

 ちなみにインドシナ諸国では、ナマズを揚げ物や鍋にして頻繁に食べ、塩焼きにしモチ米と一緒に食べるのも人気だ。代表的なメニューは「ヤム・プラードゥック・フー」。

 揚げたナマズをほぐし、マンゴーやハーブのサラダであえた料理で、ビールによく合うし、スタミナがつくといわれている。 

☆室橋裕和(むろはし・ひろかず)=1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め周辺国も飛び回る。3年前に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。