強毒ヒアリの上陸&拡散は避けられないのか

2017年08月03日 07時15分

 南米原産の強毒アリ「ヒアリ」の拡散を防ぐ対策として、環境省は7月31日から、神戸港の周辺2キロまで範囲を広げ、捕獲用のわなを使った調査を始めた。しかし、海外から到着する船からコンテナの積み荷を取り出す作業などに従事する港湾関係者は「2キロ程度を調査しても、何の解決にもならない。埠頭では荷物を取り出さず、コンテナごと内陸に運ぶことも多い」との声が上がっている。もはや、ヒアリのさらなる上陸&拡散は避けられないのか。

 環境省は地元自治体と協力し、ヒアリの発見場所の周辺で駆除や調査等を続けてきたが、国内での発見が続いているため「範囲を拡大し、対策を徹底する」としている。7月31日午前からは、神戸港周辺の半径2キロまで範囲を広げ、調査を開始した。

 日本では、ヒアリは5月下旬、中国・広東省から神戸港に陸揚げされて兵庫県尼崎市内に運ばれたコンテナから初めて見つかった。その後は兵庫だけではなく、神奈川、東京、千葉、愛知、大阪、福岡、大分の全国8都府県で発見されている。

 今後はヒアリが発見された場所など、全国8都府県、12か所でも同様の調査を実施する方針。同様の調査を2回ずつ行い、1回目は今月中旬までに実施、2回目は今月下旬から行う予定だ。

 もっとも、海外からの船が到着する港や埠頭などで働く港湾関係者の間では「発見された場所から2キロ程度の場所を調査したって無駄」といわれている。関東の、ある埠頭で働く関係者は、こう証言する。

「今までは、埠頭でコンテナから荷物を降ろした時にヒアリが発見されてニュースになっているが、荷物によっては埠頭では出さず、コンテナのまま内陸まで運んでいるものも多い。だから、港の周辺2キロ程度を調査しただけでは、とても追いつかないのでは」

 東京港や横浜港など、関東の港に到着した船から搬出したコンテナは、内陸のどの辺りまで運ばれるのか。

「港の近辺だけじゃなく、群馬や栃木などの北関東や、長野や山梨などにも運ばれている。国内で最初にヒアリが発見された時も、神戸港から尼崎市に運ばれたコンテナから見つかっている。愛知県でも、発見されたのは内陸部の春日井市。港の周辺だけ調査しても仕方ないんです」

 大きなニュースになっているが、業者への「コンテナのまま内陸に持ち込まないように」などといったお達しは全くないという。

「コンテナに外国の虫が付着するなんてことは昔から、しょっちゅうあった。それこそ、いろんな国の虫がいる、なんて噂もあったし。今回はヒアリという毒性のアリだから注目されたのでしょうが、それだけで現場の仕事に対する規制を厳しくするなんて話は聞かない。感染症の危険があるような昆虫なら別でしょうけどね」

“水際で食い止めなければ”などといわれるが、実際はコンテナ内部にヒアリが潜んでいる可能性がある。そのまま内陸にまで運ばれているのが現状なら、日本の山奥など、どこで発見されてもおかしくない。