刑務所への差し入れ無視で脅迫 ヤクザ組員に残された最後の道

2017年07月27日 08時00分

 ヤクザになると、抜けるのはやはり大変だ。警視庁昭島署は25日までに、元組員の男性(35)を脅したとして、暴力行為法違反と脅迫の疑いで、指定暴力団山口組傘下の長野県の暴力団幹部(35)を逮捕した。

 同容疑者は2月20日、刑務所に収監中の知人受刑者宛てに、小説など6冊の書籍を郵送で差し入れするように当時は組員だった男性に指示した。ところが、男性がすっぽかしたことに腹を立てて「何をやらせてもダメな野郎だ。ふざけたことやってると殺すぞ、コラ」と電話で脅した疑い。容疑を認めているという。

 男性は約10年間、末端組員として働いてきたが、容疑者から日常的に怒鳴り散らされ、暴力を受けてきた。今回の失敗でついに命の危険を感じて逃走。組から脱退するため、電話で脅された日のうちに長野県内の自宅から逃げ出した。3月6日まで車中泊を繰り返していたところ、昭島市内で同署員の職務質問を受けて保護された。

 ヤクザの世界は失敗したり、組を抜けようとしたりする者には厳しい。事情通は「リンチ、指詰め、資産も根こそぎ奪われる。運よく新しい仕事が決まっても、職場に押しかけられたり、執拗な嫌がらせを受け続ける」と話す。

 逃亡中、男性は容疑者からの電話には出なかったが、他の組幹部からは「戻って来い」「このままではダメだ」「わびを入れろ」などと電話で説得され続けた。それでも応じなかったのは、戻ったら今度こそひどい目に遭うとわかっていたからだ。同署は脱退を妨害したとして、これら幹部3人にも暴対法に基づき、中止命令を出した。男性は現在、警察の支援もあり、別の場所で会社員として新しい人生を始めているという。同署関係者は「足抜けしたい者が、逃げ切れずに組の手に渡ったら大変なことになる。脱退したい組員は警察を頼って」と同様の状態の現役組員に向けて語っている。