【アツいアジアから旬ネタ直送「亜細亜スポーツ」】タイ旅行にハマる女子たちのお目当てといえばグルメ、買い物、そしてエステやスパでの自分磨きだ。とりわけスパのレベルは高く「古民家を使ったオシャレな一軒家スパで、半日タップリくつろげる。カップル利用も可」とは、タイ・リピーターの30代女性。またスパマニアの30代ゲイは「日本だと、コスメブランドとかがやってる高級スパは大体男性NGだけど、タイなら男もウエルカム。あんな極楽気分を女に独占させとくのはもったいない」と語る。

 こうした店が多いのは、首都バンコクのスクンビット通り。中には“健全”な高級店に交じり、怪しげなネオンをともした店もある。店内を見るとごく普通の美容室だが、軒先ではスツールに座ったミニスカ女子が笑顔で手招きしている。

「これが男のための“ハーレムエステ”だよ。どの店もサロンと名乗り、基本的には美容院。髪をカット、ヒゲも剃ってくれるほか、たくさんのオプションがある」とは現地在住会社員だ。

 例えば爪の手入れ。ミニスカ女子が手足の指を丹念にもみほぐし、丁寧に爪を切り、ヤスリまでかけてくれる。

「足の指はかがんで施術するから、胸元がチラチラ見えたり、パンチラも拝めたりする」

 またフェーシャルパックを頼めば、パックの間は念入りに肩や首をマッサージしてくれる。蒸気を顔に当てたり、キュウリでパックしたり、毛穴から汚れを吸引したりと、男でもなかなか楽しい。

「それと耳かきはマスト。やさしい手つきで何種類かの耳かきを使い、ホジホジしてくれるんだけど、性的な快感さえ感じる」

 ヘアカット以外のサービスを一緒に頼むと、何人もの女子がお客の全身を“同時攻め”してくれる。女子ウケを狙い、夜遊び前にこうして肌をきれいにしておくのは付け焼き刃かもしれないが、「頭の先から爪先まで、すべてを女の子たちに任せてリラックスできる。まるで王様になったような気分」と同会社員。

 料金は店にもよるが、ヘアカットだけなら200~300バーツ(約670~1000円)。ほかのサービスも同様の値段で、全身フルにハーレム気分を味わうなら、1500バーツ(約5000円)くらいかかるが、日本では考えられない値段だ。

 気になるのは“その後のお楽しみ”があるのかどうか。アジアでは昔から理髪店が置き屋を兼ねていることが多く、スクンビットのハーレムエステにも2階がついている。そこに上がって別のサービスが受けられるという噂は根強い。旅の恥はかき捨てで、交渉してみる価値はある。

☆室橋裕和(むろはし・ひろかず)=1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め周辺国も飛び回る。3年前に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。