加計学園問題 甘い汁を吸おうとした“悪いヤツら”

2017年07月20日 17時00分

 政府の国家戦略特区制度を活用した獣医学部新設計画を巡り、学校法人「加計学園」(岡山市)が事業者に認定される約2か月前の昨年11月17日、特区担当の山本幸三地方創生担当相(68)から「四国で新設することになった」と伝えられたと、日本獣医師会関係者が19日、明らかにした。ずるずる長引く加計学園問題について、大学教授歴約40年で、地方の大学設立にも携わってきた警鐘作家の濱野成秋氏が緊急寄稿。経営が成り立たないことが明らかな獣医学部新設で、甘い汁を吸おうとした“悪いヤツら”の存在を指摘した。

 大学ビジネスとは商品なしでやる口先商売。原価計算に不可欠な仕入れ価格はゼロ。要るのは人件費と構築物の減価償却費。ランニングコストを抑え込めば、10億や20億の赤は3年で黒にできる。

 稼ぎ頭は教師1対学生200~300でやる大教室。このコストパフォーマンスと、卒業認定単位を充足する下限をいかに下げるか。言い換えれば、人件費の要る科目数と習得単位の計算式さえ経営学の公式で大黒字を見込めば、永遠に黒字が続くという寸法だ。

 加計の獣医学部予定地は四国の今治にある。人口15万6000人。タオル生産では世界一の品質を誇る今治だが、背景人口の点では気の毒なほど小さく、大学ビジネスのおよそ信頼できるパイではない。ということは受験生を他府県から集める必要が生じる。それだけで大学経営はピンチムード。学生を集めるにも、東京圏や名古屋圏からは無理だから、京阪神の子たちを呼び集めるのが順当。そこでまず真っ向からバッティングする京産大を締め出したのだろう。

 もし仮に文科省が京産大獣医学部も認可するという、2校平等型にすればどうか。圧倒的に京産大優利となる。今の若者は都会好きで、京都ムードが大好き。京産大に偏る公算がきわめて高い。だから加計を末永く救ってやるために、京産大には到底無理な準備期間を押し付け、加計には早々耳打ちして早めに建設までさせたとなれば、今治市としては、そうでないという証拠を既存の書類を開示して身の潔白を晴らさねばならない。

 それが誠に遺憾ながら、今治市は昨年開示していた市職員の首相官邸訪問記録や開学スケジュールなどを全面非開示にしたことが7月15日に分かった。つまり、全面、隠蔽に切り替えたわけだ。これで黒白が明確となった。確実、クロだろう。

 隠蔽し続けて済む問題と考える行政には当然検察が入り、公務員は処罰対象となる。天下りリストが加計学園に横滑りする行政職員と重なれば、これまた違法行為である。

 現在、地方大学は国公立を含めて、生徒募集で苦戦している。出ても職がない、というのが最大の理由。情け深い安倍さんは何とか加計だけを認可して、地方創生の理想実現に出た、と考えてやりたいが、問題なのは、加計の獣医学部は生徒募集に窮して、倒産すれば今治市がさらに大きな負の資産を抱え込む懸念である。国会でもここまで問題にせねばならない。

 地方大学の経営破綻は深刻で、身売りしている大学は中四国、九州には幾つかあって、気の毒なことだが、今治市では、京阪神から集まらねば、開学早々コスト割れする公算が強いことに気が付かないらしい。市民は置いてけぼりか? 内部審査を担当した有識者はイエスマンか?

 開学と同時に事務長や総務部長職には市役所から天下りする予定かもしれず、その名はすでに文書には出ているはず。現在張り付いている教授陣の研究業績が正統か? 筆者はその審査員資格で設置申請書に掲載の教授陣の研究業績チェックをした経験があるが、もし加計の獣医学部にリストアップされた人材がひどければ、ろくな教育はできない。

 もし申請者側の記載内容や市職の文書における内容になんら問題となる記載がないと主張するならば、ここまで問題になっているのであるから、今治市は公文書を総て公開し、申請書類に張り付いた事務職氏名に天下り防止法違反者はいないか、教授陣の研究業績に粉飾はないか、開学時期を内々予告した不正がないか、徹底して釈明する段階に来ていると指摘したい。

(警鐘作家・濱野成秋)