「海難事故の正しい救助法」ベテランライフセーバーが伝授

2017年07月13日 17時00分

イケメンライフセーバーの青木氏

 本格的な海水浴シーズンが、いよいよ全国的にスタートする。例年、楽しい行楽の一方で、海は海水浴客に容赦なく牙をむく。米南部フロリダ州のビーチでは8日、一家9人が沖へ流されたが、居合わせた海水浴客約80人が浅瀬から沖合に向けて手をつなぎ、約100メートルの“人間の鎖”を作り、全員を救助する感動話が生まれた。この道20年以上のベテランライフセーバーが、いざという時の正しい救助方法を伝授する。

 米南部フロリダ州パナマシティービーチの砂浜で8日午後、子供2人が沖合から戻れなくなり、助けを求めて叫んでいるのに母親が気づいた。救助しようとして両親や祖母ら7人が海に入ったが、岸から沖に向かう強い流れがあり、全員が次々と流されていった。騒ぎに気付いた人々が集まり、協力して9人に届くまで手をつなぎ、全員を助けた。

 九死に一生を得た母親は「天使のような人たち。彼らがいなかったら、私も家族も生きていない」と感謝。全員無事に助かった感動ニュースとなったが、いざこうした場面に遭遇したら、本当に“人間の鎖”を作るのが最善の策なのか。

 ライフセービング世界選手権元日本代表(現代表コーチ)で、神奈川県の湯河原海水浴場を守る「湯河原ライフセービングクラブ(LSC)」理事・青木将展氏(31)に聞いてみた。青木氏は小学生時代に湯河原LSCのジュニアに入会している。

 実際に「ヒューマンチェーン(人間の鎖)」という救助方法はあるが、重要なのは確実に足が着く水深で行わなければならないことだという。

「足が着かずに両手がふさがれると、危険を回避できない。腹あたりの水深でやってください。胸だと、波をかぶって溺れる可能性があります」(青木氏)

 気をつけるべきはサーフボードやボディーボードなど、浮く物を持って助けに向かうことだ。

「救命胴衣や浮輪を持って助けに行くことが望ましいですが、空にした2リットルのペットボトルでも構いません。貝を持つラッコのようにあおむけになって、ボトルを抱えて浮いておくだけでいいんです」(青木氏)

 泳ぎに行くときは水分補給を兼ねて、大きなペットボトルを持参するのが、万一の際に利用できるわけだ。救助に向かうだけでもかなりの体力を要する。体力がなくなったときに、自らもさらなる救助を待つという判断も重要だという。

 とはいえ“人間の鎖”は捜索にも向いている。

 青木氏は「以前、海で子供がいなくなったときに、波打ち際の水深で岸から30~40メートルまで大人たちが手をつないで歩きました。足に当たれば、溺れてる人を見つけられるんです。結局、子供は岸で迷子になっていただけでホッとしました」。

 忘れてはいけない海難事故防止の大前提について青木氏は「ライフセーバーや監視員の配置された海水浴場で遊ぶこと。決して『自分は泳げる』と過信しないこと。特に小さい子供からは、決して目を離さないこと」と話している。