東京都の小池百合子知事(64)が検討している豊洲市場の移転問題に関する基本方針で、豊洲に移転後、将来的に築地を再整備して一部の市場機能を戻す構想が浮上していることが18日、分かった。国家戦略特区制度などを活用することも選択肢にあるという。

 一方、小池氏が代表を務める地域政党「都民ファーストの会」が基本方針に沿う形で、豊洲問題に関する都議選の公約を見直すことも判明した。

 関係者によると、小池氏は豊洲に追加の安全対策をした上で市場を移転させた後、築地の跡地を売却せずに民間に貸し付ける活用策を検討する意向を固め、23日の都議選告示までに基本方針を公表する準備を進めている。

 しかし、豊洲の追加の安全対策でも、築地の再整備でも莫大なカネがかかる。それは利権に群がる業者たちが、上乗せした高い金を提示してくるからだ。

 土壌・水質汚染問題に詳しい警鐘作家の濱野成秋氏は「都議会では実質工費の10倍もの上代見積金額が平気で出てくる。これは大儲けをたくらむ黒子集団が背後にうごめくからだ。業者の上代価格の乗せぶりを見抜くのが、トップである小池知事の仕事だ」と指摘する。

 見抜くための専門知識は必要ないともいう。

「小さいごまかし箇所より、部材の必要量、筐体、耐久構造であって、他の業者から相見積もひそかに取って、部材に使う鉄筋の太さ、本数、ベタコンの厚さ、防水部材の材質比較まで検討するのは、専門知識がなくてもできる。トップは5社や6社、時には10社以上から図面と部材の見積もりを取り、現物まで持ってこさせて比較検討したら、ポイントがよく分かる」と濱野氏。

 たとえば今話題の防水シートは表面データだけでは信用できない。

「耐候性(光、寒暖、水)が第一。特にビニール系は日光、化学物質(への耐性が弱く)、経年劣化が著しい。耐久性データは業者提出のものは信用せず、ひそかに別々に取り寄せた実験データを調べ、工事現場を業者と歩いて根掘り葉掘り聞いて説明させねばならない。当初の上代価格の10分の1程度で、最高の品質保証で実施できた例もあった」と濱野氏は話している。