トランプ米大統領(70)は9日、ルーマニアのヨハネス大統領との会談後の共同記者会見で、米大統領選干渉疑惑「ロシアゲート」を巡るコミー連邦捜査局(FBI)前長官(56)の議会証言について「事実ではないことを証言した」と批判。自身も証言する用意があると明らかにした。双方の主張は真っ向から対立している。

 トランプ陣営とロシアの不透明な関係を捜査中に突然解任されたコミー氏は、8日の上院情報特別委員会の公聴会で、捜査対象だったフリン前大統領補佐官について、トランプ氏から「(フリン氏は)いいやつだ。捜査をやりすごしてくれないか」と大統領執務室で“指示”されたことを証言した。

 捜査妨害に加えて、自身への忠誠さえも求められたなどの生々しい話を明らかにしたコミー氏に対して、トランプ氏は「言っていない」などと否定。一方で、自身がロシア疑惑と無関係であることや疑惑捜査を妨害しなかったことが証言によって示されたと主張した。

 また、コミー氏がトランプ氏との会話を記録したメモの内容をメディアに伝えるように友人に頼んだと証言したことについて、「情報漏えい者だ」と非難。長官職解任のカードを切ったばかりか、コミー氏を情報漏えいの疑いで捜査するかどうか関係当局に検討させる方針だ。

 トランプ氏は以前、ツイッターでコミー氏との会話の「録音テープ」の存在をほのめかしたことがあり、近く何らかの説明をする考えも示した。さらに、宣誓した上で証言する用意があることを明らかにした。宣誓証言で虚偽の説明をすれば偽証罪に問われる可能性がある。

 両者の主張は真っ向から対立するが、風当たりはトランプ氏のほうが強い。コミー氏の主張をひっくり返す奥の手が飛び出すか注目される。