2014年の東京都知事選をめぐり、運動員らに現金計480万円を配ったとして公職選挙法違反(運動員買収)の罪に問われた元航空幕僚長の田母神俊雄被告(68)に東京地裁は22日、懲役1年10月、執行猶予5年(求刑懲役2年)の有罪判決を言い渡した。田母神被告は「お金を配ることを了承したことはない」と無罪を主張していたが、家令和典裁判長は「報酬表に『会長指示自衛隊関係』の名目で約308万円が追加計上されており被告の指示か了承があったと推認できる」と退けた。判決後、同被告は「やってもいないことで有罪にされたんではかなわんな」と悔しさをにじませ、控訴を検討すると息巻いた。

 保守派のスターとして“閣下”のあだ名で熱狂的な女性ファンまでついた同被告だが、政治資金流用疑惑のシドロモドロ釈明会見や、はかまや愛人の毛皮コート代などへの流用疑惑が報じられるにつれ支持者離れが加速。今後の“閣下”はどうなるのか? 同被告は裁判で「今後政治に携わることはない」と語っている。足の引っ張り合いでしかなかった選挙戦だけにもう懲り懲りなのだろうか。

 一方で保守派論客としての舌鋒の鋭さは衰えていない。事情通は「電車内の痴漢行為で実刑判決を受けた“ミラーマン”こと経済学者の植草一秀氏はネットを中心に左派系コメンテーターとして復活している。銭湯で高級時計を盗んだとして書類送検(のち起訴猶予処分)された経済学者の高橋洋一氏も教職や公職に復帰している」と指摘。

 続けて「田母神氏のファン離れは事実だが、今でも裁判を見守る熱心な田母神ガールズも一定数いる。言論活動は制約されないので講演活動などをやっていくのが現実的。踏み込んだ警察・検察批判を展開すれば注目を集めるのは間違いない」とみる。21日には「不徳を恥じるも私心なし 冤罪獄中記」(ワック)を上梓。田母神節は健在のようだ。