16日午後1時50分ごろ、長野市豊野町の豊野高等専修学校から「ニラのスープを食べた生徒の具合が悪くなった」と市保健所に連絡があった。生徒11人、教諭3人の計14人が病院に運ばれた。保健所によると、全員軽症という。有毒成分が含まれるスイセンの葉をニラと間違えて食べたことによる食中毒の可能性があるとみて、保健所などが経緯を調べている。

 同校などによると、2年生の生徒約20人が家庭科の授業で調理実習。学校側が用意した食材で親子丼やスープを作って生徒らが食べたところ、一部が吐き気や頭痛を訴えたという。担当の教員は「自分で採ってきたのを使ったが、ニラとスイセンを誤ったかもしれない」と話しているという。

 ニラとスイセンの誤食はこの時期、毎年起きている。葉っぱが見分けにくいからだ。花が咲けば簡単に見分けられるが、今の時期、スイセンは花が咲き終わったところで、ニラは夏に花が咲く。

 野草事情通は「有毒なスイセンは花がきれいだし、作物を荒らすモグラやイノシシなどの害獣避けになるという噂が昔から根強いので、家庭菜園のある人はよく植えます。スイセンは球根で増えるので、毎年同じ場所に生えます。問題は種がパラパラ散って、勝手に広がっていくニラ。最初はスイセンとニラを離して植えていても、ニラが広がって、混在してしまうことがあるのです」と言う。

 ニラはニンニクに似たニラ臭がするため、スイセンとはニオイがはっきり違う。しかし、混在している葉っぱを食べる分だけまとめて採り、後で数束ごとに嗅いでも、ニラ臭が強く嗅ぎ分けにくい。とはいえ、嗅ぎ分けながら採るのは面倒だろう。だから、誤食が起きてしまう。

 とはいえ、野草に親しんでいる人にとっては、「ニラとスイセンの葉っぱは形も葉の厚さも手触りも違う。間違えようがない。これを間違えるような人は野草や山菜を採っちゃいけない」(同)というわけだ。