消息不明の陸自機 緊急輸送任務の知られざる実態とは

2017年05月16日 17時30分

 陸上自衛隊北部方面航空隊(札幌市)の連絡偵察機LR2が15日午前11時47分ごろ、北海道函館市の函館空港の西約30キロ付近でレーダーから消え、消息不明となった。急患輸送の任務に当たっていた中、何が起きたのか?

 防衛省によるとこの日、北海道知事から函館市の病院に入院中の患者の容体が悪化したため、緊急空輸の災害派遣要請があった。LR2は要請後、約22分後に札幌市の丘珠空港を離陸した。函館空港で患者を収容後、札幌に戻る予定だったが、函館空港に到着する直前に、なんらかのアクシデントに見舞われたとみられる。

 現地周辺は天候が悪く、雷と濃霧注意報、強風注意報が出ていた。機長の高宮城効1等陸尉(53)、副操縦士、整備士2人の計4人が搭乗し、機長はパイロット歴10年以上のベテランだった。連絡が途絶える前、機体の異常やトラブルの報告はなかったという。

「LR2は陸自唯一の固定翼機で、連絡と偵察目的で導入されたが、急患輸送で、活躍しているもう一つの“顔”がある。天候不良や夜間にヘリコプターの出動が難しい場合、固定翼機のLR2は重宝されていた」(軍事関係者)

 防衛省によれば、昨年度(2016年4月~17年3月)は全国で計409件の急患輸送で自衛隊機が出動。離島や医療施設が少ない北海道、鹿児島、沖縄での出動回数が特に多い。また昨年11月から今年3月まで今回消息を絶った北部方面航空隊のLR2は2度出動していた。

 防災アナリストの金子富夫氏は「自衛隊は花形のところばかりが注目されるが、地方で急患や重傷者を輸送など見えない部分で日夜懸命に汗をかいている。天候が悪ければ、自衛隊が頼りにされる現状があって、危険を冒しながらの任務だったと思う。勇敢な行為だったと思います」と指摘する。

 墜落事故となれば航空自衛隊飛行点検隊(入間基地)所属のU―125点検機が鹿児島県鹿屋市山中に墜落し、乗員6人が死亡した事故(昨年4月)以来。懸命な捜索活動が進められており、河野克俊統合幕僚長は15日、「墜落かどうかについて言及は避けたい。ただ燃料については率直に言って、非常に厳しい状況にある」と話した。