学校法人「森友学園」(大阪市)の系列保育園「高等森友学園」が、運営に必要な保育士を確保できていない問題で、大阪市の吉村洋文市長(41)は11日、同園の事業停止に向けた手続きを進める方針を示した。

 7月1日に事業停止命令を出す方向性となり、同園はいよいよ崖っ縁に追い込まれた。すると、大阪市側が保護者への説明会を行う淀川区役所前に集まっていた報道陣に対し、同園関係者が保護者の1人を取材に応じさせるとして“別会場”へと誘導した。

 市による会見と同時刻に、取材に応じた保護者は「転園先の表を配られたんですが、通園に30~40分かかるところにしか空きがない」と不満を漏らした。5歳の子供を持つそうだが「大きな年齢の子だと、近くの園の空きがほとんどない。みんな思い出もあるし泣いてました。総裁先生(籠池泰典前理事長)も(保育士確保に)『メドは立った』とおっしゃってたのに、何でこんな急いで潰しにかかるんだろう」と涙ながらに訴えた。

 また、市からは6月5日必着とする転園手続き申請を示されたという。「メッチャ長く取ったったやろ、その間に勝手に転園先を見に行ってくださいって感じで腹が立ったし、『これでも我々もメチャメチャ努力してるんです』って言われました。こっちは必死なのに」と市の説明態度にも不満を見せた。

 保護者の怒りは権限者の吉村市長にも向いた。

「一回も私たち市民の前に顔を出さずに、1日で命令を下して。みんな『何で市長は出てこないの?』って言っていました。一回私たちと同じ立場に立ってもらいたい」

 同園の籠池諄子園長は先月、大阪市の調査に「(大阪市の指導は)うっとうしい」と悪態をついたが、そもそも保育士不足の解消は森友学園側の責任。転園を余儀なくされた幼い園児と、やり場のない憤りを抱える保護者たちが気の毒でならない。