神戸山口組 分裂の背景

2017年05月02日 07時30分

 指定暴力団神戸山口組(本拠地・兵庫県淡路市)から複数の直系組長が離脱し、新組織「任侠(にんきょう)団体 山口組」を結成したと30日、関係者が明かした。神戸山口組は、一昨年8月に指定暴力団山口組(総本部・神戸市灘区)から分裂したばかりだが、再びの分裂劇の背景にあるのは?

 新組織は組長を置かず、神戸山口組元若頭代行で山健組の織田絆誠元副組長が代表を務める。神戸山口組での人事や金銭面を巡る不満が背景にあるとされ、織田元副組長は山健組を離脱し、他の直系組長ら数人と新組織を結成した。

 本部長には神戸山口組元若頭補佐の池田幸治真鍋組組長が就いた。警察庁によると、昨年末時点で、山口組の構成員は約5200人、神戸山口組は約2600人。新組織の規模は、神戸山口組の3分の1程度になるとみられる。

 暴力団事情に詳しいノンフィクション作家の森功氏は「神戸山口組の分裂情報は4月初めに流れ、その時は(直参の)6団体が出ていくとの話だった。一昨年に神戸山口組が山口組から分裂したのは『六代目(通称・司忍の篠田建市組長)体制の締め上げがきつく、上納金も高く取られるのが一因だったが、神戸山口組になっても同じような構図が残り、よりシノギは苦しくなっていた」と指摘する。

 織田元副組長が神戸山口組を割ったのも衝撃だ。神戸山口組の井上邦雄組長(山健組組長)の最側近で、山口組から分裂した後も表に立って、行動していた。

「(織田元副組長は)もともと井上組長に心酔して、この世界に入ったともいわれている。山口組の抗争では、陣頭指揮を執って、(山口組の中核組織の)弘道会の切り崩しにかかっていた。分裂は神戸山口組にとっては厳しくなるし、井上組長の求心力も落ちることになる」(森氏)

 今回の分裂は神戸山口組内の対立だが、中核を成してきた山健組の副組長が親分に反旗を翻し、タモトを分かったことがポイントという。

「山健組は山口組の老舗団体で、田岡三代目時代に後継者といわれた山本健一初代組長や五代目(渡辺芳則組長)などを生み、保守本流を自任していた。だからこそ神戸山口組として分裂できたが、現体制には不満がたまっていた。分裂には、山健組の再興を目指したい太田興業の太田守正組長がバックにいるといわれています」(同)

 新組織が「任侠団体 山口組」と“山口組”を名乗るのも保守本流の表れなのか?

「我こそは本家ということでしょうし、『山口組』は金看板なので、それがないと経済活動できない。神戸山口組にしてみれば、引き留め工作もするだろうし、抗争まではいかないにしても(小競り合いは)やらざるを得ない部分は出てくるでしょう」(同)

「山口組」「神戸山口組」「任侠団体 山口組」と三つ巴で、血で血を洗う新たな衝突を呼ぶのか、それとも三すくみとなるのか。

 兵庫県警は情報収集と警戒を強めている。