性同一性障害の受刑者は全国に50人 法務省の対応遅れでトラブルも

2017年05月01日 17時00分

 戸籍上は男性ながら女性として神戸刑務所で服役する性同一性障害(GID)の受刑者(42)が、入浴時に男性職員から裸を見られる状態で監視されるのは法務省の性同一性障害に関する指針に反すると訴えた。弁護士や医師でつくる刑事施設視察委員会が意見書を昨年12月、提出していた。

 意見書は、刑務所が浴室や脱衣所前に設置したすだれ型のパーティションでは裸が見えるため、女性職員が対応するか、男性職員に裸が見えないよう措置を取るよう対応を求めた。神戸刑務所ではパーティションを3枚重ねにしてシルエットしか分からないよう改善措置を取ったという。

 GIDや同様の傾向のある受刑者は昨年3月時点で全国の刑務所に50人ほどいる。法務省はGIDで男性から女性への性適合手術を受けた収容者に対し、戸籍上の性別変更前でも入浴や身体検査の際は女性職員が対応するよう通知しているが全国の留置施設では対応が追いついていないのが現状だ。

 また留置施設によっては人格権の侵害ともいえる処遇から裁判に発展したケースも。痴情のもつれで交際男性を金属バットで撲殺した元ホステス(当時20代)は、男性として生まれたが性適合手術を受けて女性として生活。女性ホルモン剤の投与が不可欠なのに東京拘置所は「病気ではない」として投与を認めず、裁判ではヨダレを垂らして十分な証言もできないほど不安定な状態に。被告はその後、国を提訴した。

 また、先月28日に懲役10年の実刑判決が下った“声優アイコ”こと連続昏睡強盗犯の神いっき被告(33)は女性に生まれたが乳腺を切除し男性として生活。犯行時だけ“女装”していたが、逮捕後、男性ホルモンを投与していないため精神不安に陥っていた。

 被告自身は男性を自認しているが、両側にいる刑務官のうち1人は女性被告人の場合と同じで必ず女性刑務官が付いた。国家機関といえど、今後は戸籍など書類だけに頼らない柔軟な判断や対応が求められそうだ。