新年度の歓迎会などは要注意だ。東京・上野界かいわいではいまだに泥酔客を狙った悪質飲食店が横行しているようだ。

 警視庁は23日、窃盗容疑で中国人のアルバイト、呉炎英容疑者(49)、無職の岩井恵容疑者(31)を逮捕した。両容疑者は3月10日、上野の路上で酒に酔った男性に声をかけて店に連れ込み、さらに酒を飲ませ、泥酔させた後「代金が足りない」などと言い、コンビニのATMに連れて行き、暗証番号を聞き出して20万円を引き出した疑い。

 呉容疑者は黙秘し、現金を引き出す際の見張り役だったとみられる岩井容疑者は「やっていない」と話しているという。

「上野の中国人スナックのぼったくりはこの5~6年、かいわいでは“追いはぎ”と有名ですが、終電後に路上で座り込むような泥酔客はついつい誘いに乗って店に行ってしまい、被害は続いてます。店側はハメるのはこなれたもの。カードであり得ない金額を決済させたり、所持金をスッカラカンにさせたりして、警察ざたになっても『高級な酒を自分から飲んだ』などとずる賢いからやっかい。とにかく甘い誘いには乗らないことですよ」(近隣の飲食店関係者)


 今回のように、防犯カメラに引き出す様子が記録されるATMでも大胆な犯行に及ぶケースも珍しくないという。

 捜査関係者は「ATMの前でも客にイチャイチャくっついて、横から引き出し額を多く入力したり、現金が取り出し口に出た瞬間に客にキスをして視界を遮り、現金を奪うケースもある。さらに、デレデレしているうちに暗証番号を横で暗記して店に戻り、客が眠った間にカードを抜き取り、再度引き出す被害もある」と注意を呼びかける。

 上野かいわいでは同様の手口での被害がこの1年間だけでも約3000万円に上っているという。出張族も要注意だ。