北朝鮮「サリン弾」Xデー 軍事専門家も警戒

2017年04月13日 08時30分

 北朝鮮は11日、日本の国会にあたる最高人民会議を平壌で開いた。米海軍の空母艦隊が朝鮮半島に近づき、日ごとに情勢が緊迫化するなか、日本への攻撃が懸念されている。外務省は同日、北朝鮮が核実験や弾道ミサイル発射を繰り返していることから、韓国に滞在、渡航する邦人に対して朝鮮半島情勢に関する情報に注意するよう呼び掛ける海外安全情報を発表した。日本でも有事に備えた動きが出てきた。

 外務省が発表した海外安全情報は外国に滞在、渡航する邦人に対するもので、「直ちに邦人の安全に影響がある状況ではない」としている。同省の「海外安全ホームページ」でも確認できるが、渡航の中止や退避を呼び掛ける「危険情報」ではなく、安全に関わる事案が発生する可能性がある場合に出される「スポット情報」とした。

 その動向が注目される最高指導者の金正恩・朝鮮労働党委員長は、朝鮮中央テレビによると、11日の最高人民会議に出席し、同日に最高指導者就任5周年を迎えたことで礼賛を受けた。

 一方で北朝鮮に対しては、包囲網が強化されつつある。米軍が原子力空母カール・ビンソンを中心とした空母打撃群を朝鮮半島近海に向かわせれば、中国軍は北朝鮮との国境付近に兵力を展開したと伝えられている。

 また、韓国内では「北朝鮮が朝鮮人民軍創建85周年を迎える25日の直後にも米軍が北朝鮮を空爆するのではないか」との見方も出てきた。朝鮮半島をめぐっては一触即発の状態だ。

 北朝鮮の機関紙、労働新聞は「我が軍は敵部隊のあらゆる動きに目を光らせており、我々の核の照準は韓国と太平洋区域の米国の“侵略的基地”だけでなく、米国本土にも向いている」と先制攻撃も辞さない米トランプ政権をけん制。半島有事となれば、基地など米軍施設の多い日本も巻き込まれかねないわけだ。

 北朝鮮は核の存在をちらつかせ、先月の弾道ミサイル発射実験では、在日米軍施設へのシミュレーションだったと発表。戦局次第で、核ミサイルの発射を予告している。

 だが、軍事専門家は核ミサイルを発射する可能性は低く、核兵器ではない別の危険性をこう指摘する。

「核はあくまで抑止力で小型・量産化したかも未知数。事実上、脅威となるのは生物化学兵器をスカッドやノドンに搭載したミサイル攻撃です。米軍施設に限らず、日本の都市を狙うこともあるでしょう」

 韓国国防省によれば、北朝鮮はVXガス、サリン、マスタードなど約5000トンの生物化学兵器を保有するという。先日、シリアで使われたサリンも北朝鮮製とみられている。

 日本を射程に収める中距離ミサイルのノドンは約200発を保有しており、生物化学兵器を搭載した状態で日本全国へ同時に発射することも技術的には可能とみられる。

 日本はイージス艦搭載の迎撃ミサイル「SM3」と地対空誘導弾パトリオット3の2種類の迎撃システムで北朝鮮のミサイルに備えるが、複数弾が飛来した場合、迎撃は難しいとされる。

 最悪事態に備え“核シェルター化”を施す家庭も出てきている。室内にろ過機を取り付けることで、放射性物質や有毒ガス、細菌、ウイルス等の侵入を防ぐ家庭用核シェルターの販売を手掛ける「シェルタープランニング」(大阪市)は「日本全国から問い合わせが殺到している。東日本大震災の原発事故時よりも増えている」と話す。

 長年、生物化学兵器の脅威にさらされていた韓国では公共施設や家庭へのガスマスクの普及が進み、避難訓練が行われるなど国民の意識も高い。日本でも早急な対策を迫られる時となっているようだ。