豊洲市場への移転問題を検証する東京都議会の百条委員会で20日に実施された石原慎太郎元都知事(84)への証人喚問では、これまでの元都幹部の証言と、石原氏が主張してきた内容との食い違いは解消されず、新しい事実も出てこなかった。

 築地も豊洲も、どちらも地下水から汚染データが出ていることは間違いない。それでも東京では他の場所は考えられない。とにかく魚河岸で働く人にとっては「豊洲移転か、そのままか、早く決めてほしい」というのが本音だろう。

 土壌・水質汚染問題に詳しい警鐘作家の濱野成秋氏は「豊洲の処理は、お粗末すぎる。水質データ採取法はいまだ談合型。予算も常識の20倍。小池さんよ、それで東京都知事か。しかも、地下水の汚染濃度のデータは、豊洲からまた別の候補地へと移転して二重に儲けたい業者がねつ造したらしく、信ぴょう性に乏しい。その対抗データもない」と言う。

 濱野氏は本紙で「豊洲水質データの盲信は危険だ、あんなもの数字操作で何とでもなる」と指摘してきた。

「都もようやく採取法を変えたが、談合型だからお話にならない。東京ガスが残した毒性物質と決めつけるな。水脈の数キロ先から採取して、水脈次第でどう流れるか、それを知らねば危険物質の出所は突き止められない。地下水脈は海からたった50メートルの井戸が真水で、2キロ離れていても塩水が出て来て当たり前。水脈とはそういうものだ。とくに豊洲は河川に挟まれた中洲だから、出所調査では上流の企業が原因だとも考えられるのだ。調査法一つ知らないから指示の出し方がいい加減」(濱野氏)

 築地のままか、豊洲移転すべきなのか。

「地下水が地面にしみ出て危険なのは築地であって、豊洲の汚染水脈対策は現段階でも地下水の上流を遮断し、下流域の処理をして再度上がらぬように防水工事をすれば十分に使える。豊洲の汚染土壌と地下水の防御対策は十数億程度で出来る工事であって、それに公費を何百億とふっかけられた、その数字を鵜呑みにする知事ではいかんのだ。あい見積もり(複数の業者に見積もりを提出させること)を取れ。セカンド・オピニオンも取れ」と濱野氏は語っている。