学校法人「森友学園」(大阪市)を巡る疑惑が別の問題に飛び火している。籠池泰典理事長は23日に国会の証人喚問で、安倍晋三首相(62)から100万円の寄付を受けたとする発言などについて問いただされる予定。大スキャンダルになるかと注目されているが、この籠池爆弾は不発に終わる可能性もある。一方、野党には安倍政権の追及で、森友問題とは別の本命があるという。その一つである加計学園についてはすでに取り上げられているが、もう一つの学校利権を巡る疑惑が噴出しようとしているのだ。

 籠池氏が語ったという昭恵夫人(54)を介した安倍首相からの寄付金疑惑は本紙昨報のように、同夫人の講演料の返却だった可能性が浮上し、野党側がトーンダウンしている。

 永田町関係者は「籠池氏サイドが出している物証だけでは今のところ判断しにくい。証人喚問では寄付疑惑をつつくよりも、そもそもなぜ8億円も土地の価格が安くなったのかという国有地払い下げ問題の方に力を入れた方がいい」と問題の原点である小学校予定地の激安購入問題に立ち返るべきと話す。

 森友問題では安倍首相のほかに稲田朋美防衛相(58)が、答弁を二転三転させたことで野党の追及を浴びている。しかし、口利きなど決定打となる事実は出ていない状況だ。野党関係者は「むしろ野党の本命は森友問題ではありません。野党はほかの学校利権と安倍政権のかかわりについて調べているところです」と明かした。

 その一つが、すでに野党が国会質疑で触れている岡山県岡山市にある学校法人「加計学園」だ。この学園の理事長も安倍首相の知人。政府は加計学園に国家戦略特区の事業主として、運営する岡山理科大に愛媛県今治市での獣医学部新設を認めており、その経緯を野党が問題視していた。

 13日の参院予算委員会で社民党の福島瑞穂氏(61)は、同学部新設が決まった前後に安倍首相が理事長と会っていたことを指摘し、安倍首相は「働きかけがあったら責任を取る」と力添えを否定した。

 加計学園の件にも昭恵夫人が登場する。同学園の関連施設で、昭恵夫人が講演した際に政府の職員を同行させていたことが判明している。

 民進党関係者は「安倍首相が学校であいさつするケースはレアです。防衛大学校の卒業式で訓示を述べるのと母校の同窓会くらいなもの。そのなかで目立つのが2014年に加計学園が運営する千葉科学大学であいさつしていること。森友学園ですら安倍首相はあいさつしていないわけで、随分親しいじゃないですか」と興味津々だという。

 さらにもう一つの学校の名前が取りざたされている。

「東日本にある医療系の大学です。こちらも医療系の学部の新設が認められました。理事長は安倍首相だけでなく首相官邸とつながりがある。医師会は反対していましたが押し切られた。ある専門誌が取材に動いたが、圧力がかかったという話も聞きました」(前出の野党関係者)

 加計学園もこの大学も新学部新設にあたって、安倍首相やほかの政治家の働きかけがあったかどうかについて確かな事実があるものではない。

「政府との距離感が異常に近いとはいえる。森友学園の問題から始まって、学校利権というものに光が当たりそうです。野党議員で今、国会質問しようと精査している人もいますよ」(前同)

 籠池爆弾が仮に不発に終わっても、それでは終わらない火薬庫がまだまだ眠っている――。