東京・日野市のマンションで昨年6月、ガス爆発により、男性の住人と廊下にいた女性の2人がヤケドを負い、室内60平方メートルが燃えた火事で、警視庁は16日、ガスの開栓作業をした日本瓦斯の男性社員(42)を業務上過失傷害容疑で書類送検した。

 調べによると、爆発事故の半年前に男性が入居した際、男性社員はガスの開栓作業を行った。ガス栓をドライバーで強引にこじ開けたことで、ハンドルが破損。その後、バルブも抜け落ち、ガスが漏れ出し、引火・爆発したとみられる。

 このマンションは都市ガス対応だったが、男性社員はプロパンガスの開栓方法しか知らなかったといい、警視庁の調べには「強引に開けたが、その後の操作は間違っていなかった」などと話しているという。

 元東京消防庁消防官で防災アナリストの金子富夫氏は「ガス業者がガス栓の操作も分からなかったなど言い訳にもならない。ガス業者の管理監督責任が問われるのは当然です。よほど雑な職人だったのか」とあきれる。家庭用のガスは、都市ガスとプロパンガス(LPガス)の2種類で、いずれも開栓時には使用者立ち会いの下、ガス事業者が行うのが原則だが、その業者がミスをしてはどうしようもない。

 ガスが漏れた際には、爆発や一酸化炭素中毒の危険がある。そのため都市ガス、プロパンガスともにガスには特有のにおいがつけられている。

「ガス器具との誤接続や部品の劣化などガス漏れによる事故は、年に数件程度発生しています。においを感じたら、スイッチ類には触れずに窓を開け、換気してください。換気扇を回すのは非常に危険で、作動させる際に電気を使用しており、引火しかねない。異常時は自然換気が原則です」(金子氏)

 引っ越しシーズンで、来月からは都市ガスの小売り全面自由化も始まる。

「ガスという危険物に対する認識が必要です」(同)

 思わぬ事故とならないためにもガスの取り扱いには、注意したいところだ。