161億円覚醒剤押収 国際犯罪組織を追いつめた「泳がせ捜査国内最長95日」

2017年03月09日 08時00分

 覚醒剤約230キロ(末端価格161億円)を密輸したとして神奈川県警など4県警は7日、覚醒剤取締法違反(営利目的輸入)の疑いでブラジル国籍の埼玉県坂戸市の会社役員ヤノ・エドアルド・ヨシユキ容疑者(49)とメキシコ国籍の男女2人の計3人を再逮捕した。いずれも容疑を否認している。昨年9月以降、国内最長となる95日間の「泳がせ捜査」が実った格好だ。

 3人の逮捕容疑は、2015年12月にメキシコからの船便で、長さ80センチの金属製の筒46本に覚醒剤230キロを隠して密輸した疑い。警察や税関で荷物の中身をすり替えた上で、運び屋を泳がせる「コントロールド・デリバリー」という捜査手法で3容疑者が浮上した。

 ブツは税関で押収済み。何のために密輸組織を泳がせ続けたのか? 国際捜査課で密輸事案を捜査した元神奈川県警刑事で犯罪ジャーナリストの小川泰平氏に聞いた。

「12月はクリスマス商戦で荷物量が多く薬物やコピー商品が紛れて入ってきやすい。末端価格161億円という量から組織的であることは明らか。95日間も泳がせたというのは組織もそれだけ大きいからです。そこで神奈川、埼玉、千葉、愛知県警が情報を共有し十分な時間と人員をかけたのだろう」

 実際、泳がせ捜査とはどんな手法なのか。

「密輸品の郵送先には空き家が指定されていることもあり、受取人もただの雇われ人の可能性が高い。複数人の仲介者を経て最終受取人である組織の首魁(しゅかい)にたどり着くまで泳がせて、組織の全容を解明するのが目的。ある程度の日数をかけたことから、ヤノ容疑者らも上層部なのでしょう」(小川氏)

 そこには外国人犯罪組織特有の捜査の難しさもあるという。

「日本の暴力団だと本部や事務所を構えていて、警察にマークされたからといって自分たちのシマを離れて逃げるのは簡単でないが、外国人組織はヤバくなってきたら引っ越せばいいと考えるのです」(同)。国外逃亡の恐れもある。

 しかも複雑なことに相手は国際組織だ。

 小川氏は「一度、日本で逮捕された人間は再入国できませんから、自国で密輸組織のボスになるのです。日本の“出先組織”に人員を送り込んで密輸のノウハウを仕込み、地下銀行経由で分け前を得ている」と指摘する。

 組織の一網打尽となると、またさらにハードルの高い話のようだ。