東京五輪の不安は日本人に漂う「おもてなし疲れ」

2017年03月01日 08時00分

滝川クリステルも困惑?

 4年前、五輪開催を勝ち取った「お・も・て・な・し」の決めゼリフだが、五輪開幕を前にその言葉の重圧に日本人が押しつぶされつつある。

 日本政府観光局によると、昨年の訪日外国人数は2403万9000人となり4年連続で過去最高を更新した。ところが、外国人観光客との接触を、負担に感じる人が増えているのだ。

 都内有数の観光スポット、浅草寺にほど近いコンビニ店の店長は明かす。

「外国人観光客に対し、うちも何かおもてなしをということで、2年前に『トイレご自由にお使いください』と英語と中国語で書いた紙を店の外に貼り出したんです。すると中国系の方々を中心に、外国人観光客の長蛇の列ができるようになった。しかし、店内は混み合っても売り上げにはつながらず、一日4回程度だったトイレ清掃も約2時間ごとにしなければならなくなった。道を尋ねる観光客の対応にも追われ、従業員からも限界という声が上がり、半年前に貼り紙を外しました」

 都内のタクシー運転手も本音を漏らす。

「外国人観光客と日本人が同時に手を上げていたら、日本人を拾いたい。外国人観光客の増加が売り上げ増に貢献していることは確かですが、外国人客は文化や言葉の違いからトラブルも多い。そんなリスクがあっても運賃は同じですから、お客を選べるなら日本人の方がいいというのは、タクシー運転手ならみんな思っていることではないでしょうか」

 外国人観光客と接する職種に広がるこうした疲労感を、インバウンド事情に詳しいジャーナリストの奥窪優木氏は「おもてなし疲れ」と表現する。
「外国人観光客で儲けている企業や店舗は多くても、そこで働く一従業員にとっては仕事の負担が増すばかりで給与はほぼ変わらず、おもてなしの気が萎えてしまうのは無理もない」

 大手旅行口コミサイトを見ると、昨年から今年にかけ日本の飲食店や宿泊施設に対するレビューに「プア・サービス」「ノット・フレンドリー」などといったネガティブな言葉が散見されるようになった。

 奥窪氏は「中国語のレビューに至っては『人種差別的』という言葉も見受けられますが、現場のおもてなし疲れが、海外からの客人に負の印象を与えているのではないでしょうか」と指摘する。