トランプ政権の閣僚で“狂犬”の異名を取るジェームズ・マティス国防長官(66)が3日、来日し、首相官邸で行われた安倍晋三首相(62)との会談で、日米同盟の重要性を改めて確認。中国が挑発する尖閣諸島の問題では「(米国の防衛義務を規定した日米安全保障条約第5条が)適用される」と明言した。

 マティス氏は米国ワシントン州の出身で、1969年に海兵隊に入隊。91年の湾岸戦争や2001年の米国同時多発テロ後、報復として行われたイラク戦争などで部隊を指揮した。

 軍人として「アフガンで女性を叩き続ける男を撃つのは楽しい。私は喧嘩は大好きだ!」などといった発言から“狂犬”と呼ばれるようになったがその半面、7000冊の蔵書を持つ無類の読書家としても知られる。

 政府関係者は「マティス氏はトランプ大統領が『彼こそ大将の中の大将』とほれ込んだ人物です。オバマ政権のイラン政策を批判し、13年に退役。米国の法律で、元軍人は国防省の要職に就くのに退役後7年以上経過しなければいけないが、上院で賛成98、反対はわずか1で承認されて国防長官に就任した」。

 会談では、核や大陸間長距離弾道ミサイル(ICBM)の開発を進める北朝鮮情勢についても話し合いが行われた。

 先月、金正恩朝鮮労働党委員長はICBMの発射準備が「最終段階に入った」と主張。トランプ政権は北朝鮮のミサイル問題を深刻に受け止めている。

「北朝鮮は、3月の米韓軍事訓練をけん制してミサイル発射を示唆した。マティス氏は、韓国を対北朝鮮前哨基地にしたい意向がある。正恩氏の暴走が続けば、韓国に米軍の迎撃システム高高度防衛ミサイル(THAAD)を配備する。北朝鮮に対し、軍事攻撃を行う可能性も十分に予想される」(前出の関係者)

 生涯独身を貫くというマティス氏は“戦う修道士”として、批判が圧倒的なトランプ政権の中で唯一、良識派との評価が高い。就任早々の来日で、中国、北朝鮮をけん制したともいえるが、会談では在日米軍駐留経費の負担増に言及はせず。後になって、異名通りにかみついてこなければいいが…。