タクシーの「ちょい乗り」が安くなり好評だ。東京都心部などのタクシー初乗り運賃が1月30日、約1キロまで410円に引き下げられた。従来は2キロまで730円だった。

 タクシーの利用者数は減少傾向で、東京地区では過去10年間で約3割減った。2020年の東京五輪・パラリンピックを控え、高齢化が進む中で、国土交通省や業界は訪日外国人旅行者やお年寄りなどの需要掘り起こしを図る。東京23区と武蔵野市、三鷹市に営業所を置く事業者が対象。

 新運賃では、初乗りの1052メートルを超えると、237メートルごとに80円を加算する。乗車距離が2キロ弱までは割安に。約2キロから約6・5キロは値上げと値下げが混在。約6・5キロ以上になると割高になる。旧運賃の加算額は280メートルごとに90円だった。

 あるタクシー運転手は「会社によって異なりますが、乗務員の取り分は売り上げの約5割。410円だと200円です。流しでこまめに拾っても、きつい金額。410円の目的は東京五輪時に外国人観光客にバンバン利用してもらって、東京は便利な都市という観光アピールをすることです」と語る。

 また、東京五輪時にはさらなる改革があるかもしれない。

 タクシー業界関係者は「日本交通の川鍋一朗会長が構想を明かしていることですが、タクシー自体を広告にし、さらに車内のモニターにも広告を流すことで、タクシー料金を無料にできる可能性があります。無料はできずとも、乗客の支払いが410円でも、乗務員と会社には広告費が入るでしょう」と語る。

 すでにスマホ用にタクシー配車アプリがあり、迎え先も送り先もタクシー側が把握できる。車内モニターに送り先のおススメランチの店を広告に出したり、スマホ利用者のネット検索履歴と連動した広告を車内モニターに表示するなど、可能性は無限にありそうだ。