【汚染地下水】専門家が指摘する豊洲数値の“データ詐欺”

2017年01月31日 07時00分

小池氏(右)はデータをどう判断するか

 東京都は豊洲市場(江東区)の地下水モニタリング調査で、環境基準の最大79倍に上る有害物質のベンゼンなどが検出されたことを受け、30日から再調査を実施。土壌汚染対策を検討する「専門家会議」が3月中に結果を審議する。小池百合子知事(64)はモニタリング調査を重視しており、結果次第では難しい判断を迫られそうだ。ところが、専門家によると、その結果はいくらでも“加工”される恐れがあるという。

 都によると、再調査は3月上旬まで29か所から採水、分析する。9回目の昨年11月~今年1月の調査で大幅に基準値を超えた場所が中心で、採水は専門家会議の指示で建物下にある地下空間を調査した業者が担当。分析はこの業者のほか、過去に分析に関わった2社の計3社が実施する。うち8か所では都環境科学研究所も検証する。

 モニタリング調査は2014年に開始。7回目までは、有害物質はいずれも環境基準を下回っていたが、昨年9月に公表された8回目に1・1~1・4倍のベンゼンと1・9倍のヒ素を3か所で検出した。

 小池氏は昨年8月、築地市場(中央区)から豊洲市場への移転延期を表明した際、最終結果を待って移転可否を判断する考えを示した。しかし、9回目の最終結果では、201か所のうち72か所から有害物質を検出し、ベンゼンは最大79倍、検出されないことが基準のシアン化合物も出た。

 数多くの大学で教鞭を執ってきた警鐘作家の濱野成秋氏は、こう語る。

「『先生、僕はもう、何を信じていいか分からなくなりました』と、某大で教えた理系の某君は、そう言って内情を一部始終告白した。彼は水質汚染の調査会社の現場担当職員。有害物質の浮遊状態を毎日、定刻に沖合に出て測り、記録を取って会社に報告する仕事。雨の日も風や雪の日も、冷水を採取、計測器にかけて、シアン(化合物)、水銀、放射性物質の質量まで測る。楽な仕事じゃない」

 それでも人々のためだ。彼は自分にそう言い聞かせて頑張ったという。汚染物質は日によって高濃度の時もあれば低濃度の時もあり、発電所の排水次第で、ものすごく違う。高濃度のときは警告メモ付きで回すという。

「あるとき超高濃度のデータが出た。当然、採取場所とか時間とか、問い合わせが来ると待機していたら、待っても待っても何も言って来ない。翌日こちらから問い合わせたら、『そんなことは忘れなさい』と言われた。水俣病の原因に近いほどの水銀濃度でも黙殺だったのである」と濱野氏。

 しかも、別の業者のデータでは低濃度の報告だったという。「ばか正直にデータを報告するな、怒られるのは当たり前だ」と、今度は社内の上司に叱られた。それでも彼は正直なデータを届け続けたら「もう辞めてもらうよ」とまで言われたそうだ。濱野氏は「今、豊洲では、こんな下請け業者からのデータで一喜一憂している。データなんて、操作されて当然の数字である。下請け業者は発注者の意向を酌んで満足する値を書いておけば、翌年度も再契約が約束される」と説明する。

 豊洲では今、調査機関と称する業者からのシアンの濃度が基準値をはるかに上回るとか。

「その防止工事をしているとかいないとか、データを神のお告げのように信じ切って、対策の有無をあれこれ議論中だが、データなどは政治色のないボランティアのグループも多々入れて、10グループぐらいでメジアン(平均値)を採るなどせねば、実態はつかめない」と濱野氏は指摘する。

 データが高濃度だから正直だとして、そのままうのみにしていいのだろうか?

「もしせっかく造った豊洲市場が、高濃度シアンの連続で根底から揺らぎ、ここを放てきして別の場所に土地代も含めて再建築するとなれば、誰が儲かるのかね。ゼネコンとゼネコンに天下りが内定している役人たちではないかね? 都民の税金、パーになる。データほど信用ならないものはない」(同)

 データには金儲けしたい“組織”の意向が含まれると疑ったほうがいいだろう。