2020年東京五輪組織委員会の森喜朗会長(79)が、霞ヶ関カンツリー倶楽部(埼玉県川越市)で開催予定のゴルフ会場の見直しの可能性に触れたかと思えば、同委員会の武藤敏郎事務総長(73)が否定するなど大揺れだ。

 森氏は4日、霞ヶ関CCが選手村から40キロ以上離れ、夏場は高温になることなどを挙げ「組織委内でも一度も議論されていない」と見直しを示唆した。ところが、6日に武藤氏は会場変更の可能性を否定。森会長の発言はあくまで対策を検討すべき趣旨だったと修正した。

 かねて霞ヶ関CCでの開催に異議を唱えていた日本ゴルフ改革会議(JGC)は11日、都庁で会見し、森氏の発言を歓迎すると同時に小池百合子都知事(64)に対し、会場変更を求め再考の申し入れを行った。

 しかし、なぜ森氏が突然、見直しに触れたのか? JGCでは昨年、国際オリンピック委員会(IOC)に対し、アクセスの悪さ、気候条件、開催経費などを挙げ、霞ヶ関CCより若洲ゴルフリンクス(東京都江東区)が勝るとの意見書を提出していた。

 JGCのメンバーで国会でもゴルフ会場問題を追及している松沢成文参院議員(58)は「会員制の霞ヶ関CCは女性が正会員になれない。五輪を開催するとなれば、いかなる差別もないようにと掲げる五輪憲章にもとることになる。おそらくJGCの意見書に対し、IOCから五輪組織委員会に問い合わせがあって、森会長が慌てたのではないか」と“女人禁制”がネックになっている可能性を指摘する。

 ただ、武藤氏をはじめ、霞ヶ関CCにこだわる勢力は抵抗している。

「日本ゴルフ協会とかゴルフ団体のトップがかかわってきたので、絶対に霞ヶ関CCを動かしたくない。ところが、森さんが表で言っちゃったので、世論が大きくなると困るから武藤さんがすぐに火消しに入った。森さんは自分で言いだしたんだから、しっかりやってもらいたい」(松沢氏)

 森氏は男を上げるか、また下げるのか。