2020年東京五輪・パラリンピックのメーンスタジアムとなる新国立競技場(東京都新宿区)の起工式が11日に都内で行われ、安倍晋三首相(62)、小池百合子東京都知事(64)、丸川珠代五輪相(45)らが出席した。

 同競技場のコンセプトは“杜のスタジアム”。緑豊かな明治神宮外苑に溶け込む環境に優しい競技場を目指す。一方で、“森のスタジアム”とやゆされることもある。五輪組織委員会の森喜朗会長(79)のことだ。同競技場をめぐって森氏は叩かれ続けてきた。

 当初はザハ・ハディド氏(3月に死去)のデザイン案が採用されていたが、総工費が高騰したため、政府は昨年7月に白紙撤回を決めた。森氏は「(コンペで)1番のこれを見たとき、生ガキをドロッと垂らしたみたいでね」と人ごとのように話していた。

 また、再コンペで2案に絞られると、「外観だけならB案の方がいい」と一方に肩入れする発言をして批判された。結局、A案に決まったものの森氏の発言をあやしむ人もいた。

 そんな“森のスタジアム”起工式の晴れ舞台に森氏の姿はなかった。起工式スタッフは「組織委員会からは副事務総長が来られていました。森氏は予定があったようです。今日、組織委の方は祝辞を述べてませんが、森氏が出席していたら話をしていたでしょう」と話した。

 森氏は6~8日にスイスで開催された国際オリンピック委員会(IOC)の理事会に出席。日程的にも厳しかったようだが、五輪会場見直し問題で対立する小池氏と会いたくなかったのかもしれない。

 小池氏は10日にネット番組「上杉隆のザ・リテラシー」に出演。五輪でゴルフ会場となる霞ヶ関カンツリー倶楽部(埼玉県川越市)が、正会員を男性だけに限定し、五輪精神にそぐわない会場ではないかと危惧されている問題に「(“女人禁制”の実態を)IOCはどこまでご存じなのか」と話し、森氏らが密室で進めたとされる会場選定過程に改めて疑念を向けていた。

 この日、小池氏は「国と組織委員会と緊密に連携して、東京都の総力を挙げて準備に万全を期したい」と意気込んだが、森氏と仲良く手を取り合う日はいまだ遠い。