兵庫県は6日、同県豊岡市の竹やぶで採取した毒キノコ「ドクササコ」の煮物を食べた同市の女性(85)と息子(60)が食中毒症状になったと発表した。

 県によると、ドクササコの中毒は、発症すると1か月以上続く場合がある。女性は入院し、息子も自宅療養中で、共に命に別条はない。

 女性は11月27日、ドクササコを約10個採取。2人は同30日までに煮物にして食べ、その後症状が出た。母親は「毒キノコだと思わず、食べてしまった」と話している。

 ドクササコは秋に広葉樹林や竹やぶに生え、食用キノコのホテイシメジなどに形が似ている。厚生労働省の「自然毒のリスクプロファイル」によると、症状として「末端紅痛症を起こす。早い場合は食後6時間程度、遅い場合は1週間程経過してから、手足の先端が赤く腫れ、激痛を伴いこの症状が1ヶ月以上続く」という。

 キノコ事情通は「毒が潜伏して忘れたころに激痛に襲われる恐怖の毒キノコです。治癒後も末端神経が変性してしまうのか、強い光などの刺激によって1年以上たってから、症状がぶり返すこともあるそう。手足の先端だけではなく、耳たぶ、鼻の先、さらにはペニスの先端が、ヤケドになったみたいに赤く腫れ上がって激痛になることも。しかもその先端が壊死し、脱落することもあるんです」と語る。

 厚労省の調べでは、2000年以降、毒成分での直接の死亡例はない。日中より夜間の激痛がより強いそうで、一説には激痛で睡眠不足になっての衰弱死や痛みを苦にしての自殺の例があるという。

 同事情通は「実際に生えているキノコは図鑑の写真とは形も色もまったく違います。だから、キノコを見るのではなく、キノコが生えている場所の木の種類でキノコを判別するんです。キノコを熟知している先輩と何度も山に入って、教わりながら何度も採って食べたことがある100%安全なキノコしか採らないものです」と指摘している。