「人生一度。不倫をしましょう」という刺激的なキャッチコピーで物議を醸した既婚者向け出会い系サイト「アシュレイ・マディソン」(以下AM)が11月30日に再スタートしていた。昨年、偽プロフィル問題が発覚したAMは、ブランドイメージが失墜。そこで同社は経営陣を一新し、コンセプトも変えた。新しくCEO(最高経営責任者)に就任したロブ・セガール氏(49)が本紙の単独インタビューに応じ、これまでの運営態勢を問題視した上で「日本の中年童貞諸君よ、来れ!」と呼びかけている。

 世に出会い系サイトは数知れないが、不倫に特化したAMはスタート時から賛否両論、注目を集めた。昨年8月には、ハッカー集団によって数万人分の会員情報が流出。女性会員の中にいわゆる“サクラ”が相当数含まれている疑いまで生じ、前CEOは引責辞任するに至った。

 そんな中、AMの立て直しと成長を託されたのがセガール氏だ。バリバリの実業家だった同氏が4月にCEOに就任したのだ。

「AM側からオファーがあったのは、昨年の9月だった。正直悩んだよ。あんなスキャンダルがあったところだし、不倫だけというのも問題だと思ったからね。でも、私のやり方だったら(うまくいく)と引き受けることにしたのさ」

 同氏はAMのシニアリーダー9人のうち、7人をすげ替え、運営実態をつぶさに検証。サクラではない実在の会員だけを残したという。また、多額の費用を投じてセキュリティーレベルを最高度に引き上げた。そして、何といっても最大の変更点はコンセプトだ。

「不倫というメッセージはあまりにも狭すぎるじゃないか。なので、私は『オープンマインド』を提案したいと思った。多様な価値観がある今の時代に見合っているから」

 オープンマインドとは、かみ砕いて言えば“何でもアリ”ということ。出会いは出会いだが、何も男女に限らず出会ってほしいとセガール氏は強調する。

「それこそ男と男、女と女でもいいし、LGBT(性的マイノリティー)でもかまわない。サディストとマゾヒストもOK。ヘンタイ? もちろんウエルカムに決まっている。私たちは誰にも批判されない、多様な人間関係を構築するプラットフォームを提供するだけさ」

 新AMのスローガンはズバリ「今この瞬間を生きよう」だ。全世界47か国に展開し、会員数はすでに5000万人。これはセガール氏就任時の3600万人より増えているという。そして、11月30日には日本版新AMがスタートしたばかりだ。

「日本の市場はとても重視している。実は私たちの調査では、日本の方々はロマンスを他国よりも求めていることがわかった。私は今回、初来日したが、ファッションや文化がとてもエレガントでクールという印象。我々のコンセプトを受け入れてくれると思っている」

 日本では昨今、女性との性体験を経ないまま、ミドルエージになる“中年童貞”が増えているといわれている。それでも通用するのかと聞いてみると、セガール氏は「だったら、なおのこと我々のAMを利用してほしいね。自分のペースに合ったステキな出会いがあるかもしれない。誰からもとやかく言われないのが良いところだからね」と胸を張った。

 新AMの再起はなるか。