豊洲移転なら「魚高騰」必至…問題だらけ市場の“ツケ”は消費者に

2016年11月17日 07時00分

 東京・築地からの移転が延期されている豊洲新市場の1日当たりの維持管理経費が、築地市場に比べ約5倍になることに、市場関係者が悲鳴を上げている。15日、東京都の市場問題プロジェクトチーム(小島敏郎座長)が市場関係者らのヒアリングを行った。同経費は市場関係者らで負担する。ある卸売業関係者は「交渉をお願いしたい」と値下げを要求するも、小島氏に突っぱねられた。高くなる同経費は「当然、魚の価格に反映されます」と仲卸売業者は断言。魚は庶民の食卓から消えるのか。

 築地市場内で開かれたヒアリングには移転賛成派と反対派が集まった。加工品業者は「築地ではくわえたばこでターレ(市場で使われる運搬用小型車)を運転するなど意識の高くない面もあったが、豊洲に行ったらルールをちゃんとしようと話していた。このまま築地に何年もいるとその気持ちも切れてしまう。これが恐ろしい」と早期の判断を求めた。

 また、仲卸売業の従業員は「(土壌汚染問題などで)風評被害が世界に広まってしまった。豊洲じゃ魚を買えないと言われた」と移転に否定的な意見を述べた。

 なかでも切羽詰まった意見は、豊洲市場の維持管理経費だ。この日の資料で築地で1日当たり430万円の同経費が、豊洲では2100万円になると記載されていた。卸売業者は「2100万円は初めて出てきた数字。払わないとは言っていない。納得性のある額にしてほしい。交渉をお願いしたい」と話し合いを求めた。

 小島氏は「2100万円は4日の知事会見で出てきたものだ。これは条例で利用者の負担と決まっており、ネゴシエーションすることはない。法令の解釈に間違いありますか?」と元役人らしくバッサリ切り捨てた。築地時代の約5倍となる2100万円を市場を利用する事業者たちで払わなければならない。そうなると、魚の価格がその分だけ高くなるということではないのか。

 ヒアリングに参加した仲卸売業者はこの疑問に「そりゃあそうです。魚は高くなりますよ。買う人も(同経費を)負担するんです」とあっさり認めた。

「無駄が多いから高くなるんですよ。一例を挙げると、豊洲ではせり場の天井が高くなっています。建物の中は冷やさないといけないのに、天井が高いということは容積も大きくなるので、それだけ余計に電気代をかけて冷やすことになります」(前出の仲卸売業者)

 それなら天井を低くすればよかったというもの。どうして天井が高いのか。「聞いたら観光客が上からせり場を見学するから、その場所のために天井を高くしているというんです。そういうアホなことやってるから、維持費が高くなる」(前同)。観光客にとっても、より高く魚を買うことになってしまうのはデメリットだ。

 市場事業者らの負担が増えれば、消費者にもその負担が回ってくるのは自明の理。魚の価格が上がらないよう事業者だけで負担すれば商売として立ち行かなくなる。単純に5倍とならなくても価格上昇は避けられなそうだ。

 また、事業者たちの不安に「事故の増加」がある。豊洲の水産仲卸売場棟内には運搬車ターレ用のスロープとヘアピンカーブがある。実際にターレで走行する習熟訓練が今月上旬に行われたが、参加者は「車線が狭いからターレ同士ですれ違うと怖い。1日2000台のターレが走るけど、衝突事故が起きると思うよ」と震えた。

 市場関係者ならではの観点もある。

「魚屋と八百屋だったら八百屋のターレの方がおとなしい。魚屋の中でもマグロ屋、練り物屋、乾き物屋とかあるけど、マグロ屋のターレが一番乱暴。マグロ屋のターレと競ることになったら俺は道を譲るね」(前出の参加者)

 天井は高いわ車線は狭いわ、問題だらけじゃないか。