米大統領選に勝利したドナルド・トランプ氏(70)と会談しようと渡米していた亀井静香衆院議員(80)は、会談がかなわずに無念の帰国となった。トランプ氏にドタキャンされたといわれているが、実際はアポなし同然だった。

 6日に羽田空港から出発する前に記者会見した亀井氏は、「7日の夜に会うということだったが、今、激戦になっていて重点区に入ることになったと。ちょっと変更になると連絡がありまして、行って待ってることにしました」と説明していた。トランプ陣営との間に立っている代理人が8日中の会談が実現するよう努力していたという。

 会見には微妙な空気が流れ始めていた。会えると確定していないからだ。あるテレビ局記者が「会談が実現しないということもあるわけですね」と念を押すと、亀井氏は「それなら行くわけねーじゃねえか! そういう質問が出るのはおかしいな」と不機嫌になってしまった。しかし、亀井氏の話を聞く限り、アポがあったとはいいがたい。

 亀井氏が便乗しようとしたのはトランプ氏だけでなく、石原慎太郎元都知事(84)もだ。渡米に同行するはずが、石原氏は体調不良で取りやめていた。前日までは石原氏も行くという話が報道陣に伝わっていた。

 石原氏は豊洲問題で報道陣から追われる身。10月に靖国神社へ西南戦争で敗死した西郷隆盛らの合祀申し入れでも同様のことがあった。亀井氏だけでなく石原氏も姿を現すということで、多くのマスコミが靖国神社に集まった。永田町関係者は「石原氏がいないとマスコミが来ないからね」と狙いを明かした。

 TPP(環太平洋連携協定)反対派の亀井氏だけに、このタイミングで同じく反対のトランプ氏と会って存在感を高めたかったところ。もくろみは外れた。