【博多駅前・道路陥没】東京・大阪も危険!防災専門家が指摘する地下開発リスク

2016年11月10日 07時00分

陥没した道路

 東京や大阪も危ない!! 福岡市のJR博多駅前の大通りで8日早朝に30メートル四方の大穴が開いた大陥没事故で、同市の高島宗一郎市長は「あってはならない事故」と謝罪した。原因は市営地下鉄の延伸工事の急ピッチな進行とも言われており、本紙の取材に現地の業界関係者は「この工事には不安要素があった」と告白。現場では埋め戻し作業が続く中、防災専門家は「東京や大阪でも起こりうる事故」と戦慄の可能性を指摘した。

 博多駅前の大陥没事故について防災アドバイザーの金子富夫氏(65)は「避けられるものだった」と断言した。

「地中の調査を繰り返しておけばよかった。『不可抗力』なんて役所の言い分。避けられる事故だ。予算も限られているし、たくさん地盤調査もできないんだろうけど、もっとやらなきゃ。造った地下鉄を使うのは福岡県民、市民だ。考え方が甘い。2020年と決めた工期に合わせるのも大切だけど、その考え方がすでに危機管理から逸してるじゃないか。市民の命より、帳尻合わせを優先した結果だ」

 事故が起きた時間帯が早朝で交通量が少なかったこと、異変を感じた現場作業員が迅速に道路を封鎖したことで、大惨事にはならなかった。しかし「陥没は人災であり、避けられた」と金子氏は言い切っている。

 事故は市営地下鉄七隈線(2005年開業)の天神南駅から博多駅をつなぐ2014年から始まった延伸工事が原因だ。今回の工事について、福岡市交通局建設課の担当者は「地下鉄の駅の空間と線路の空間の一部をつくる工事で、硬い岩盤層に幅15メートル、高さ11メートルの横穴を掘っていた」。横穴の上のもろい砂の層が何らかの理由で崩れたため、それに伴って道路も陥没したとみられる。

 実はこの延伸工事では14年10月にも博多区祇園町で約4メートルにわたる道路陥没事故があった。今回の陥没は「2度目」だったのだ。また七隈線の工事としては00年6月にも中央区薬院で約10メートルにわたる陥没事故もあり、「3度目」とも言える。これでは市が批判を浴びることは避けられない。そもそも工事自体に不安要素があった。福岡の建設業関係者は「今回の延伸工事はトラブル続きだったと聞いている」と明かす。

「私は事故現場近くの地下に20メートルほどの高さの空間を工事して作っている。地下鉄が博多駅までつながったときに、地下出入り口や歩行者通路とするためだ。関連する延伸作業現場の話もチラホラ耳にする。『十数メートル下の岩盤が硬くて進ちょくが芳しくない。非常に難しい工事のため作業が難航した。他にもトラブルが重なった』。そんな話を聞いている」

 この証言を受けて、事故について前出の担当者に再び話を聞くと「岩盤も深くなるほど硬いが、その上に砂のもろい層があって、施工時にも『崩れる恐れがあるので慎重に』と言っていた。予想はしていたけど、できなかった。不可抗力。これまでも大きい事故はないです。ちょっとした作業中に作業員が指を挟んで骨折したとか、電気ケーブルを破損したのはあったが…」と明かした。

 大陥没事故は軟弱さなどが指摘される博多駅周辺の独特な地盤が関係しているのは確かなのだが、前出の金子氏によると、同様の事故が他の大都市でも起こる可能性があるという。

「都会の地下には暗渠(あんきょ=地下に埋設された河川や水路)が多い。硬い地盤を掘った下水道や地下鉄も多い。暗渠は四角いコンクリートで、豪雨があると水が道路の端を通って暗渠へ流れ、暗渠の上の地盤がジリジリと弱くなる。すると、道路崩落や陥没のリスクが強まる。東京、大阪など地下鉄や地下空間が広がる場所ではいつだって同じような陥没事故が起こりうる」

 地下空間といえば、名古屋や札幌にも巨大な地下街があり、危険ということになる。

 続けて金子氏は「地下網が張り巡らされている東京の場合は、全体が危険。東京駅周辺や、渋谷川を暗渠にした渋谷、新宿も危険視する必要がある」と警鐘を鳴らす。

 確かに、渋谷のスクランブル交差点や世界一の乗降客数を誇る新宿駅近辺で陥没事故が起きたなら、数千人単位の人が死傷する大惨事となってしまうことは間違いなさそうだ。

 事故に見舞われた福岡では、8日午後2時過ぎから流動化処理土を投入し復旧作業に追われているが、二次被害を防ぐ応急処置にすぎない。