近年の11月3日未明、大阪府岸和田市を南北に貫く国道26号で、バイクや改造車に乗った少年らが暴走行為を繰り広げてきた通称「イレブンスリー」が、大阪府警によって阻止された。多くの見物客を集めてきた“名物行事”に終止符が打たれたか!?

 府警関係者は11・3未明の“恒例”と化しているイレブンスリーについて「10年ほど前からあったようですが、SNSの発達のためか、ここ2~3年で暴走行為の規模が大きくなり、見物しようとする人も増加した」と語る。

 イレブンスリーという名称の由来は、過去に関西で幅を利かせたイレブンスリー連合(解散)という暴走族連合にちなみ、11月3日に暴走族の垣根を越えて、暴走行為をするようになったという説もあるが、はっきりしない。

 昨年は、約50台の暴走車と約2500人のやじ馬が集まり、片道3車線の現場の一部で2車線をやじ馬が占拠し、1車線を花道のように使用するなどやりたい放題。府警は31人を道路交通法違反容疑などで逮捕していたが、現場を管轄する岸和田署はなめられっぱなしの印象もあった。

 暴走車とやじ馬が周辺一帯を占拠し、通行や飲食店への営業妨害にもなることから、今年は大阪府警が直々に対策に乗り出した。

 国道26号では、2日午後10時ごろから3日午前5時ごろにかけ、約11・8キロに及ぶ交通規制を実施し、うち岸和田市の中心部約2キロを封鎖した。また、周辺市町村から岸和田市周辺へと向かうバイクへの対応を強化するなどの対策も行った。これらに動員された警察官は昨年の4倍以上となる930人にのぼった。

 国道26号の一部封鎖を受け、道路沿いのコンビニエンスストアが休業したり、パチンコ店が営業時間を短縮する中、2日午後11時ごろから、ポツポツと徒歩でやじ馬が集まり始め、日付が変わるころには多くの“お祭り車両”も現れた。

 窓を開け怒鳴り声を上げたり、大音量で音楽を鳴らしたりと、警察に挑発を繰り返しながら、封鎖区間が始まる交差点付近を何度も周回した。

 そもそも、府警関係者が「昨年もバイクは50台ほど。こちらが問題視するのは見物人の方なんです」と語るように、府警は昨年2500人といわれたやじ馬対策に主眼を置いていた。

 交差点に立ち止まるやじ馬にも「移動してください。交差点に立ち止まらないでください」とすぐさま排除。やじ馬にインタビューを試みるテレビ局に対しても「移動しなさい」と毅然とした態度で臨んだ。

 ツイッター上で「今年のポリはすごすぎる」とつぶやかれていたように、府警の万全の態勢が功を奏したのか、肝心の暴走族も現れず。

 大阪府警の本気の勝利といったところか。それとも時間帯と場所を変えて続くのか…。