連続昏睡強盗犯“声優のアイコ”こと神いっき被告(32)の公判が31日、約1年3か月ぶりに東京地裁(石井俊和裁判長)で再開され、精神鑑定を行った医師の証人尋問が行われた。

 性同一性障害の神被告は女性に生まれ、普段は男性の姿で生活していた。犯行時だけ“女装”し、男性に睡眠薬入りの酒を飲ませて金品を奪ったとして5件の昏睡強盗の罪に問われている。

 出産や体調不良などでたびたび公判が延期されてきたため、おととし9月の初公判から約2年2か月が経過。神被告は「別人格が行った犯行」として解離性健忘を主張しており、裁判の争点は責任能力の有無に移されていた。

 この日、出廷した神被告は以前にも増してやせこけ、顔は青白く目は落ちくぼみ、細い腕は血管が浮き出て貧弱な印象を与えた。しかし、被告人席に着くなり脚を大きく広げて背中を丸め、みけんにシワを寄せるしぐさは男性そのものだ。

 精神鑑定した岡田幸之医師は「犯行時には女性の人格になっていたのに『神いっき』として連続してLINEで友人と一貫性あるやりとりをしている」「犯行時は人をだますという高度な精神機能を発揮しており、犯行時だけ突出して記憶がないのはおかしい」と神被告の“芝居”の可能性も否定しなかった。

 自身の“多重人格”の真偽が問われる中、口に人さし指を突っ込み“おしゃぶり”していた神被告は突然、岡田医師の証言をさえぎるように「僕のお部屋大きいよ!」と、幼児キャラ「ゲンキ君」の声で訴え、裁判官から「被告は発言を控えてください」と注意される一幕もあった。

 その後、医師が「被告のIQ(82程度)があれば詐病や演技は可能」との見方を示すと、神被告は薄笑いを浮かべた。どこまで演技なのか、もはや誰にも分からない。