韓国・朴大統領の「親友逮捕」の波紋 「死んで償うほどの罪」の中身とは

2016年11月02日 07時00分

 韓国の朴槿恵(パク・クネ)大統領(64)の親友、崔順実(チェ・スンシル)氏(60)が31日、朴氏から機密資料を受け取り国政に介入した疑惑を巡り当局に緊急逮捕された。聯合ニュースによると、崔氏は事情聴取のため出頭した際、記者団に「死んで償うほどの罪を犯しました」と陳謝した。朴氏が傾倒していた崔氏に関しては巨大な利権が絡んでおり、今後、建国以来の大スキャンダルになるかもしれず、政権にとってさらなる打撃となるのは必至だ。

 崔氏は朴氏の親友で、“陰の大統領”と呼ばれるほど政治に介入していたとされる。崔氏は31日、記者団に「国民の皆さん、許してください。申し訳ありませんでした」と話す一方、検察には容疑を否認しているという。検察は具体的な容疑内容を明らかにしていないが、「容疑者として取り調べる」としている。

 朴氏は10月25日、崔氏に資料を提供して国政について意見を求めたことを認め、国民に謝罪した。崔氏や一部大統領府高官の「個人的な犯罪」との結果になっても、検察が政権を擁護しているとの批判拡大は避けられない。

 崔氏は朴氏の演説原稿に手を入れたり、毎日のように大量の大統領報告資料を受け取り、韓流事業の立案などに関与したりした疑いも報じられている。さらに、大統領府高官が設立を支援し、大手企業から多額の資金を拠出させた2つの財団を私物化した疑惑もある。

 検察はこれらに関わった疑いがある2人の大統領府高官(30日に更迭)の出国を禁じており、当面はこの2つに関わる背任や横領、大統領記録物管理法違反容疑で調べるとみられる。

 韓国事情に詳しい文筆人の但馬オサム氏は「韓国では、政権末期に大統領とその一族による不正蓄財や利益供与が明らかになり、退陣後の逮捕につながるのは恒例といってもいい。今回は利益供与の相手が大統領の血族でなく、親友だったということを除けば予想の範囲内でしょう」と指摘する。

 ただ崔氏の場合は、大統領の肝いりで2つの財団を任せられ、そこに財閥企業からの莫大な融資を誘導するなど不正のスケールも大きく悪質だ。

「以前も言いましたが、崔氏の父も元夫も朴槿恵の愛人と言われた人物。両親を若くして凶弾に失い、弟妹とも不仲と伝えられる朴大統領にとって崔一族は唯一心を許せる、というよりも腐れ縁といっていいでしょう。実際、朴大統領と順実氏は友情を超えた特殊な関係であるとさえささやかれています」と但馬氏。

 崔氏が私物化している疑惑がある2つの財団の一つは、スポーツ振興をうたい文句にした「Kスポーツ財団」だ。

「ここは来る平昌オリンピックにおける利権の総本山と言えます。このKスポーツ財団のキーマンとされるのが、先頃検察の聴取を受けたコ・ヨンテという40代の男性です」

 コ氏は1998年のバンコクアジア大会で金メダルに輝いたこともある元フェンシング選手で、その後、生活苦に陥り一時は釜山でホストをしていたという謎の人物。一説には崔氏の愛人とも言われている。

「コ氏は2000年代になって突然、バッグなどを扱うアパレル・メーカーを立ち上げたのですが、当然資金の流れも気になります。東方神起メンバーの御用達として日本のファンの間でも騒がれたバッグがまさしくコ氏の経営するブランド。人気タレントを広告塔にするのも大きなコネが必要とされます。おそらくコ氏は平昌五輪の選手のバッグなど公式グッズの利権を狙っていたでしょうが、この件でその計画も流れたことでしょう」

 もうひとつの財団が「ミル財団」で、韓国の文化コンテンツを扱うというのが名目の財団だ。

 但馬氏は「映像監督でプランナーとして知られるチャ・ウンテク氏ががっちり食い込んでおり、平昌五輪の公式PR映像にチャ氏が関わっています。財団のキム・ヒョンス延世大学教授がチャ氏の恩師で、これもコネ。もっとも崔氏にチャ氏を紹介したのが先のコ・ヨンテ氏で、これが原因で崔氏の寵愛がコ氏からチャ氏に移ったとも言われ、内心面白く思っていないコ氏は聴取で、あっと驚くことをぶちまけた可能性もあります」

“崔ショック”は、政治問題を超え、産業界、スポーツ界、芸能界まで巻き込んで韓国始まって以来の大スキャンダルに発展してきそうだ。