いじめ防止協議会の提言に異議 被害者の父親が怒り心頭の理由

2016年10月25日 16時45分

 国の「いじめ防止対策協議会」は24日、「いじめ防止対策推進法」で定義されているいじめや、子供の心身に深刻な被害が出る「重大事態」について、具体例を示して解釈や範囲を明確化するよう文部科学省に求める提言を大筋でまとめた。

 協議会には文科省、厚労省、法務省、警察庁、弁護士、大学教授、教育委員会のほか、小中高の校長ら約20人が出席した。

 推進法は、いじめを「一定の関係にある子供が行う心理的または物理的な影響を与える行為で、当該の子供が心身の苦痛を感じているもの」と定義。重大事態については、いじめで「心身や財産に深刻な被害が生じた疑いがある状況」などとしている。

 協議会は定義の解釈が学校や教員で異なり、把握に差が出ていると指摘。本来なら該当するのに、いじめと扱われなかった事例や、重大事態かどうか判断が分かれた事例を複数示すよう求めた。

 また、推進法が義務付けている、いじめの情報共有を怠ったなどとして、教員が地方公務員法に基づく懲戒処分を受けた事例があることを改めて周知することも挙げたが、教員が萎縮するといった意見も出たため、内容の修正も検討するとした。

 協議会を傍聴した都内在住の60代男性は現在、都内の私立高校に通っていた娘のいじめ問題で高校と係争中だ。

「いじめに対応しない場合、懲戒処分を適用することに『現場が萎縮する』として反対したのは学校の関係者の1人、2人だけだった。懲戒処分がなければ、教員は指導者としての能力不足を隠すために、学校はブランドイメージを守るために、いじめを隠蔽する。いったいいつまで被害者を生み続けるんだと怒り心頭です」と男性は指摘する。

 男性は学校にいじめ解決を掛け合ってもあしらわれたため、文科省、警察などに相談し、結果、裁判を起こした。

「学校は『いじめではない』とし、警察は『血を流さないといじめではない』と言った。それを文科省の役人に伝えると、『いじめの定義が現場に周知していない』と困惑していた」(同)

 それでも、いじめ防止対策推進法が施行されて3年がたち、改めて懲戒処分に言及するなど、わずかに法の見直しが進みつつあるようだ。