【自殺中2写真】「市長賞」内定→取り消し→やっぱり選出のゴタゴタ

2016年10月20日 17時00分

 今年8月にいじめを苦に自殺した青森市立浪岡中学2年の葛西りまさん(13=当時)が被写体となった写真を一度は最高賞の市長賞に内定しながら「祭りの写真の被写体としてふさわしくない」として撤回した青森県黒石市の祭り「黒石よされ」の写真コンテスト実行委員会が19日、再び同作を市長賞に選んだ。

 実行委は、当初の経緯について「154件の応募作品の中から審査員が選んだ写真の、手踊りする葛西さんの衣装に団体名が記されており、お師匠さんに連絡を取って、亡くなったことが分かった。被写体が葛西さんだと判明した後にご家族を訪問し『供養になるので』と授賞を快諾する意向を聞いていた」と振り返った。

 だが、高樋憲市長をはじめ、写真コンテストを主導する観光協会の中から「再検討すべき」との意見が出て今月14日に授賞を撤回。実行委は「当時は実名や写真が出ていなかったので人権を配慮した」と釈明した。

 葛西さんの父・剛さん(38)によると「内定撤回の理由を説明しに来た際『市長賞ではなく、ほかの賞で勘弁してほしい』などと求められた」と言い、波風を立てたくなかったというのが本音だろう。

 こうした姿勢に全国から「事なかれ主義をやめろ!」といった抗議電話やメールが1300件以上も市役所や観光協会あてに殺到。遺族も実行委の対応に不信感を抱き、17日に「いじめをなくす力になれば」と実名と写真の公表に踏み切った。

 19日の記者会見で高樋市長は「混乱が生じたことを、ご遺族におわび申し上げたい」と陳謝。実行委によると「担当者が授賞の取りやめを説明した際にご家族に納得いただけないまま、今日まで面会はできていない」という。

 葛西さんは「黒石よされ」祭りから10日後の8月25日、駅のホームから電車に飛び込んだ。受賞作の葛西さんは大きな赤い和傘を差し、着物を着て笑顔を見せている。剛さんは、賞を受けるかどうかは「作品の撮影者が決めること」とし、遺族としては反対しない考えを示した。