国王崩御から活気戻るタイ 娯楽系の店は条件つきで営業

2016年10月23日 09時00分

プーケット最大の歓楽街バングラ通り。客引きギャルの服装は黒系が多い

【アツいアジアから旬ネタ直送「亜細亜スポーツ」】プミポン国王崩御後、タイでは意外や混乱もなく平穏だ。12年前のインド洋大津波、5年前の大洪水でも見られたが、お互い協力しようという気持ちが強く、地元民は普段以上に親切で優しい。

 首都バンコクの旅行会社スタッフは「すでに日本からは、年末年始旅行のキャンセルがいくつか入ってます。治安の悪化を心配してのもの」と顔を曇らせるが、タイでは今、自警団や民間レスキューチームなどが市内を巡回し、治安維持に努めている。

 その団結心からか、服喪の黒服でなく赤い服の市民が写真を撮られてSNSにアップされ、身元を特定され“大炎上”する騒動も相次いではいるが、外国人はそこまで過敏になることはない。極端に派手な格好でなければ問題ないだろう。

 歓楽街もほぼ通常通りの営業に戻った。政府・内務省は「30日間は娯楽を慎むべきだが、各店の判断に任せる。エンターテインメント的な店は、戸を閉めた密室ならば自粛の必要はない」との通達を発表。これを受け、少しずつ活気が戻ってきている。

 今のところ、オープンバーでも音楽は控えめ、店の前や通りから見える場所で踊るダンサーはいないが「年末年始には元に戻っているだろう」と某ゴーゴーバーの店員は言う。

 タイ南部最大の観光都市で、巨大歓楽街もあるプーケットは、すでにほとんど通常通り。雨期明け直後とあって観光客でにぎわい、一部店舗ではバンドのライブもやっている。ゴーゴーバーの前では、ダンスや露出もなくシックな装いのギャルが客引きしているが、店内では普段と同じ。マッサージパーラーも営業を再開した。

「プーケットなどタイ南部は、首都から離れているので取り締まりも緩く、観光業に経済の大部分を依存している。それだけに自粛ムードも強くはなく、むしろ『こんなときに観光に来てくれてありがとう』と地元民に言われたりする」(冒頭の旅行会社スタッフ)

 プーケットのビアバーで働く女性(20)は「お父さん(プミポン国王)はずっといてくれるものだと思っていた。悲しさをどう表していいか分からない。でもお父さんは『まじめにコツコツ働くことが大事だ』といつも言っていた。だから今日も働くの」と語る。
 年末年始、もし“いつものタイ”を満喫するなら南部のリゾートのほうがよさそうだ。

☆室橋裕和(むろはし・ひろかず)=1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め周辺国も飛び回る。2年前に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。