小池都知事と安倍首相「合体」の意味…官邸巻き込み“森切り”か

2016年10月18日 06時50分

若狭候補(右)の応援演説に駆けつけた小池都知事(左)と安倍首相

 小池百合子東京都知事(64)と東京五輪・パラリンピック大会組織委員会の対立が激化している。小池氏はボートやカヌー競技の会場「海の森水上競技場」の見直しを検討。候補地に宮城県の長沼が浮上している。村井嘉浩宮城県知事(56)や地元住民は歓迎で積極的な一方、組織委は「不透明なやり方」と反発。小池氏は首相官邸を巻き込んで“森切り”を画策している。

 小池氏は都政改革本部の調査チームが3兆円超の可能性を指摘するなど高騰していく五輪・パラリンピックの総経費を見直そうとする中で、「海の森――」に目を付けた。同チームは「海の森――」の会場変更を提言し、宮城県登米市にある長沼ボート場を候補に挙げていた。

 15日には小池氏が現地視察。東京湾にある「海の森――」は491億円かかるが、村井氏によれば長沼なら200億円ほどでできるという。小池氏は18日に国際オリンピック委員会のバッハ会長と会談し、会場見直しに理解を求める方針だ。

 こうした動きに組織委員会は大反発。「都知事は、アスリートファーストと言いながら、事前にIF(国際競技連盟)、NF(国内競技連盟)に意見を聞いていない。(中略)水面下で他県知事とだけ話し合うのは、極めて不透明なやり方ではないか」。小池氏は「透明にすべきはもっとある」と言い返していた。

 森喜朗会長(79)がカンカンになっていることは間違いない。しかし、小池氏と森氏が直接対決する気配もない。小池氏は首相官邸を使って、事を進めようとしている。

 16日、衆院東京10区補選に出馬した若狭勝氏(59)を応援するため、小池氏と安倍晋三首相(62)が同じ街宣車の上に並び立った。小池氏は“百合子グリーン”の緑ジャケット。安倍首相も緑のネクタイを着用し、「2杯の青汁を飲んできた。体の底から緑になっている」と百合子グリーンに染まっていることを猛アピール。「オリンピック・パラリンピックを成功させるため協力していく」と小池氏との連携を宣言した。

 宮城県の政界関係者は「小池氏が復興五輪にこだわっているのは、復興予算を使うことも考えているからではないか。そのためには首相官邸を巻き込むしかない」と指摘する。

 復興予算とは東日本大震災の復興のために一般予算とは別に設けている予算のこと。村井氏は長沼の整備費について、寄付金の「東日本大震災復興基金」を想定しており、復興予算は活用しない方針に言及している。

「復興予算を五輪に使うことになると違和感を訴える人も出てくるので、慎重にならざるを得ない。しかし、国のお墨付きがあればやれなくはない」(前出の政界関係者)。小池氏が一時期は不仲とまで言われた安倍首相と連携を深めるのには、官邸を巻き込んでの戦略がありそうだ。

 それだけではない。新国立競技場をめぐるゴタゴタの際は、世論を気にした安倍首相自ら当初のザハ・ハディド氏デザイン案を白紙にすると宣言して、混乱を収束させた。小池氏がやろうとしている競技場見直しも世論調査で8割が賛成している。「解散総選挙が近いといわれているので、いざとなったら安倍首相は世論につくでしょう」(永田町関係者)。つまり、森氏ではなく小池氏に味方するということ。小池氏は“森切り”のために安倍首相との連携を深めている。