またひとつ姿を消す鉄道遺構 姫路モノレール「大将軍駅」の歴史

2016年10月12日 10時00分

時代の経過を感じさせる大将軍駅の駅名標

 名建築と呼ぶにはほど遠いが…。鉄道マニアや廃線マニアならば誰でも知っている建築物「大将軍駅」が、ついに取り壊される。現在、解体のため、防音壁や足場が組み立てられている。

 この建物はJR姫路駅(兵庫県姫路市)から西へ500メートルほど歩いたところにある。地上10階建ての1階部分には店舗があり、2階部分はビジネスホテルとなっていた。3~4階にあったのが旧姫路モノレールの大将軍駅で、5~10階部分が集合住宅だった。大将軍神社などもあり、この駅名がつけられた。建築物自体の名称は、日本住宅公団(現UR都市機構)高尾アパート。

 今夏、大将軍駅の一般公開が48年ぶりに行われた。参加することができた懐古マニアの女性はこう話す。

「中に入るとタイムスリップしたような感覚があります。また、ひとつの歴史がなくなっていくんですね。コンクリートだから仕方ないですけど、有効活用できなかったことが残念です」

 大将軍駅の駅名標を見ると時代の流れを感じることができる。長きにわたって封鎖されたことから、鉄道マニアや廃線マニアの間では「幻のモノレール駅」と呼ばれている。

 姫路モノレールは、戦後、公園として整備された手柄山へ観光客を運ぶために計画され、1966年5月に手柄山を会場とした「姫路大博覧会」の開催に合わせて開業した市営のモノレールだ。

 総延長はおよそ1・6キロで駅数は3。運賃が高すぎたこともあって、博覧会の閉幕後は、利用者が激減した。

 68年1月、姫路市は、経営減量化のために利用者の少なかった大将軍駅の営業を休止。モノレールの待ち時間を含めると、「大将軍駅までなら歩いた方が早い」と言われるほど姫路駅からの距離が短かったため、同駅の利用者は少なかったからだ。

 終点は大将軍駅の次にある手柄山駅だったため、その後は、始点の姫路駅と終点の手柄山駅の2駅だけでの営業となった。そして、74年4月には、営業自体も終了し、79年1月に廃止されている。

 すでに解体に向けた工事が始まっているので、もうすぐ大将軍駅、高尾アパートを見ることはできなくなる。