阿蘇山噴火で懸念される農作物への風評被害

2016年10月10日 11時00分

 熊本県の阿蘇山・中岳第1火口で8日午前に36年ぶりとなる爆発的噴火が発生し、各所に影響が及んでいる。降灰は熊本、大分、香川、愛媛などで確認され、これまでのところケガ人は確認されていない。噴煙は高さ1万1000メートルまで達し、気象庁は噴火警戒レベルを2(火口周辺規制)から3(入山規制)に引き上げた。気象庁は「山は不安定な状態で今後も同規模の噴火が起こり得る」(斎藤誠火山課長)と警戒を呼びかけた。

 

 熊本では4月に大地震が発生し、観光客が激減。政府が客足回復へ向け「九州ふっこう割」を導入し、今月から年末までは旅行商品を最大5割引くなど、復旧が進められる中で、またも天災に見舞われた。

 

 阿蘇市のホテル「サンクラウン大阿蘇」の藤川一郎支配人は「地震で遠のいた客足が少しずつ回復してきていたのに」と肩を落とした。阿蘇市の旅館「阿蘇の四季」の梅木秀三社長は「灰がずっと降っていると思われるなど風評被害が心配」と話す。阿蘇市と南阿蘇村の主要ホテルや旅館では8~9日の両日、少なくとも延べ300人分のキャンセルが出た。

 

 また果物や野菜など農作物の被害も出ている。阿蘇市ではこの時期、ハウス栽培のイチゴ農家が年末の収穫を控えているが、ビニールで覆う前に灰が降り注ぎ、また覆われたビニールも穴が開くなどで収穫が見通せない恐れがあるという。日差しが遮られる可能性もあるという。阿蘇市の佐藤義興市長は「(農作物の被害は)相当出てくるのではないか。火山灰で覆われ、ビニールハウスが劣化してしまう」。被害がなかったエリアでも風評被害が懸念され、相次ぐ天災に地元関係者の嘆きは止まらない。