偽のフィッシュマッサージで足をかまれる旅行客多発

2016年09月18日 09時00分

フィリピンではこんな大きな魚が…

【アツいアジアから旬ネタ直送「亜細亜スポーツ」】アジア各地の観光スポットで近年よく見かけるのが「フィッシュマッサージ」だ。「ナイトマーケットなどの定番で、大きな水槽がいくつも並んでます。中には無数の小魚が泳いでいて、そこに足湯のような感じで足を入れるんです」とは、カンボジアにある日系旅行代理店スタッフ。

 魚は足に寄ってきてついばむ。特にかかとの角質をつっつき、食べてくれるのだ。アカ掃除になり、角質が取れるといわれる。魚たちに足をつつかれると独特のくすぐったさがあり、マッサージ効果も得られるという。とりわけ、カンボジアの観光地には数多く、フィリピンやマレーシア、シンガポール、タイなどでもよく見る。カンボジアでは10分で1ドル(約100円)程度と格安。

 ただ、危険も潜んでいるという。日本人ツアーを受け入れているフィリピンの現地旅行会社ガイドが警告する。

「本来使われるのはガラ・ルファというコイ科の魚の一種。西アジア原産で、この魚が自然に生息していたトルコや周辺国からフィッシュセラピーが広まったといわれている。かのクレオパトラも愛用していたとか。ただ、屋台感覚で営業しているフィッシュセラピーの中には、どう見ても違う種類の魚を使ってる店があるのです」

 ガラ・ルファはデリケートな魚で飼育が難しい。原産国から輸入する必要もあるが、気候や水が合わず、大量死することも。初期投資と飼育技術が必要なのだ。ならば…と、水中にあるものをつつく性質を持つ地元の安い魚を使い“偽フィッシュマッサージ”を開く。こうしてアジア各地でこの商売は増えた。

「ガラ・ルファは歯がない。吸盤のような口が足の皮膚に吸いつく感触がキモだが、他の魚の場合、かみ付かれることがある。足を傷付けられたという苦情もよく寄せられる」と前出ガイド。

 ガラ・ルファは成長しても10センチ程度と小さいが、カンボジアやフィリピンでは、大きなフナのような魚や金魚が交じっていたりする。そこに足を突っ込む観光客の中には、日本人の姿も。足をかまれる程度で済めばいいが、感染症にかかるケースもあるそうだ。

「大抵、水槽の水は濁って汚染されてます。そこに不特定多数の人が足を入れたら、魚を介し、病気が広がる可能性もあると指摘されているそうです」と冒頭のスタッフは警告している。

☆室橋裕和(むろはし・ひろかず)=1974年生まれ。週刊文春記者を経てタイ・バンコクに10年居住。現地日本語情報誌でデスクを務め周辺国も飛び回る。2年前に東京へ拠点を移したアジア専門ライター。