偽装発覚!豊洲市場 底なしの闇

2016年09月13日 06時30分

 築地市場の豊洲移転問題は、とんだ“偽装”発覚で深刻さを増してきた。豊洲新市場は土壌汚染対策で地下にキレイな土が盛られているとされていたが、主要施設の地下は空洞だったことが判明。東京都の信用失墜に加え、今後の調査次第では“移転白紙”では済まない事態となってきた。

 10日に緊急会見した小池百合子東京都知事(64)は「すべて盛り土をしているというのは正しくない。訂正させてもらう」と頭を下げた。

 東京ガスの工場跡地である豊洲新市場は、土壌から高濃度のベンゼンが検出されるなど汚染されていたため、都側は敷地全体で2メートルの土を入れ替えたうえで、さらに2・5メートル、計4・5メートルの盛り土を行っていたとしていた。

 ところが、水産仲卸売場棟や青果棟など主要5棟の地下は配管や配線を整備する必要があったために盛り土がされていなかったという。厚さ約40センチのコンクリートで“フタ”をしただけで、地下には4・5メートルの空間が広がったうえに雨水か地下水なのか不明の水がたまっていた。

 移転反対派の東京中央市場労働組合の中沢誠書記長は「都が隠していたと言われてもしようがない」と憤慨すれば、移転容認派で築地市場協会の伊藤裕康会長からも「専門家への安全確認をしないまま施設を建てるような無責任なことを誰が決めてやってきたのか。抗議したい」と話した。

 都側は安全上の問題はないとしているが、防災アナリストの金子富夫氏は「本当に設計通りに建築したのかどうかも疑われる事態。耐震偽装、基礎工事(杭)偽装などがあったが、どういう理由で変更され、公表されていなかったのか。建物の耐震性も気になってくる」と指摘する。

 豊洲は埋め立て地でもともと地盤が弱く、東日本大震災時は一部が液状化現象を起こした。さらに豊洲市場は1平方メートル当たりの床積載荷重の限度が700キロで、魚や荷物を運搬するターレー1台で重量1トンを超えるために地盤沈下や床が耐えられるのかといった“構造欠陥”が懸念されていた中で発覚した盛り土偽装だけに不安は膨れ上がる。

 さらに厄介なのは謎の地下水の出現だ。都による水質モニタリングで、これまでは異常は出ていないが、前出の中沢氏は「こんな調子では水質調査なども自分たちの都合のいいようにやっているのではと疑われる」と話す。

 この巨大な地下空間は、地下水から汚染が見つかった場合の処理スペースではないかともみられている。「東京ガスの跡地で地中に汚染物質が含まれているのは当たり前のこと。地下空間に汚染物質とともに地下水が染み出ていたら福島原発と同じで取りきれない」(金子氏)

 小池氏は偽装が行われた経緯を調べると同時に専門家のプロジェクトチームを立ち上げ、安全性や耐震性を検証していくという。「豊洲市場は日建設計が設計、工事管理を請け負っているが、もし日本最大手がズサンな工事管理をしていたとなれば(とんだ)体たらくでしかない。そして『東京』という世界的な都市が理性を欠いた機関だとしたら、市場移転の白紙どころか五輪の開催も無理です」(金子氏)。もはや不信感しかない“東京の新台所”はどうなってしまうのか。