外れ馬券は経費として認められるか

2012年11月30日 16時10分

 外れ馬券は経費として認められるのか――。2009年までの3年間に競馬で得た総額約30億1000万円の所得を申告せず、計約5億7000万円を脱税したとして所得税法違反の罪で在宅起訴された会社員の男性が「外れた馬券の購入費も経費に算入すべきだ」と主張。馬券購入が必要経費になるのかが法廷で争われるという前代未聞のケースに、競馬界やファンの注目が集まっている。

 大阪地検は、男性の当たり馬券の購入費だけを必要経費と認めたが、弁護側は「外れた馬券の購入費27億4000万円も経費に算入すべきだ」とした上で、男性が得た正味の利益は約1億4000万円と訴えている。

 大阪地裁での19日の初公判で男性は「申告する意思はあったが、一生かかっても払えない税金を負うため、申告できなかった」と述べた。男性はまた、配当金は次の購入資金に充て“自転車操業”だったとし、口座には残高が数十億円単位になることはなかったと説明している。

 弁護人によると、年収約800万円のこの男性は市販の競馬予想ソフトに独自の計算式を入力して、04年ごろからインターネットで全国から馬券を選び、一度に大量購入。09年までの3年間に約28億7000万円を馬券購入につぎ込み、約30億円の配当を得たため、もうけは約1億4000万円だった。

 所得税法は、所得を算出する際に収入から差し引ける必要経費について「収入を生じた行為のために直接要した金額」と規定している。
 このため大阪国税局は、配当額から当たり馬券のみの購入費を控除した約29億円を所得と認定し、無申告加算税を含め約6億9000万円を追徴課税するとともに、所得税法違反容疑で大阪地検に告発。地検は昨年2月、在宅起訴した。

 男性は課税処分を不服として、大阪国税不服審判所に審査請求している。競馬や競輪のもうけは「一時所得」に当たり、申告義務がある。同国税局によると、一般サラリーマンは給与所得以外の所得が年間20万円以上だと申告が必要になる。馬券の場合は払戻金から当たり馬券購入費を差し引いた金額が50万円を超えれば課税対象となる。

 税金対策の専門家によると、厳密に法解釈すれば前記の通りだが「現実では馬券をウインズなどで買って、100万円馬券が当たったとしても確定申告する人はいない」と指摘。現物馬券の場合、“あし”がつかないからだ。

 では、電話投票やインターネット投票のように銀行口座に記録が残る場合はどうか。

「金融機関、JRAともに税務署に対して顧客の個人情報を開示する義務はない」と説明。よほど競馬で大儲けをしていることを当局が把握し、税務署が内偵。裁判命令が出ない限り「通常ではバレない」という。

 それだけに、今回の男性のように、課税処分にとどまらず、起訴されたケースは極めて珍しい。

 

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