築地市場移転延期で「市場まつり」どうなる?

2016年09月02日 07時00分

築地移転の延期を表明した小池都知事

 最後の祭りだったはずだが…。小池百合子東京都知事(64)が31日に築地市場移転の延期を表明し、物議を醸している。11月7日の豊洲新市場開場に向けて準備してきた市場関係者は「すでに何百億円も投資しているのに!」と困惑と怒りで心中がいっぱいになっている。「築地でやるのはラスト!」と大々的に宣伝されたお祭りもどうなるか分からない状況だ。

 覚悟を表しているかのような黒いスーツの小池氏は「豊洲新市場への移転を延期といたします。築地の解体工事も延期とさせていただきます」と静かに述べた。

「都民ファースト」を強調し、(1)安全性への懸念、(2)巨額かつ不透明な費用の増加、(3)情報公開の不足――の3つの疑問点を列挙。市場問題プロジェクトチームを設置し、これらの疑問に基づく検証を行った上で、新たな移転時期を設定するという。

 築地移転問題については賛否両論あった。反対派は豊洲の土壌汚染を心配したり、マグロが解体しにくいなど使い勝手の悪さを訴えたりした。

 一方、賛成派からは予定通りに移転しないと東京五輪・パラリンピックで必要な環状2号線の建設が間に合わないという意見もあった。小池氏は来年1月に結果が出る地下水のモニタリング調査を重要視。移転は1月以降にならざるを得ない。

 延期表明を受けて、移転推進派の築地市場協会の関係者らが記者会見を開いた。同協会の伊藤裕康会長は「移転の判断は早くても来年5月じゃないか。それだけ延期すると大変な金額の被害が出そうだ」と頭を抱える。水産関連の設備投資だけで200億円以上は間違いなくかかっている。

 青果関連でも何十億円の投資をしているといい、市場全体での総額は把握しきれないほど。

 伊藤氏は「都の都合で11月7日になって、我々はそこに向けて走ってきた。当然、責任は都に取っていただかないと」と損害が出た場合は補償を都に求めると話した。

 豊洲新市場はほぼ完成しており、大きな冷蔵庫など設備も入っているという。つまり、11月7日以降は「築地で仕事をしながら、豊洲の設備の管理もしなくてはいけない。つまりお金はダブルでかかる」(伊藤氏)

 年末年始は市場の繁忙期だが「不完全な状況で対応することになる」(同)と食卓への影響もありそうだ。

 また、5月に行われた「築地市場まつり」も関係者の間で話題になっている。「『ありがとう、築地』というキャッチコピーでやりました。築地でやる祭りは最後ということでマスコミにもたくさん取り上げられ、15万人も来場しました」(ある市場関係者)。もしかしたら来年5月になっても築地のままの可能性がある。この祭りは不定期とはいえ、次回は築地なのか豊洲なのか。

 前出の伊藤氏は「どうしましょうか。『ありがとう、築地』は私が考えたんです。また築地でやるなら『こんにちは、築地』にしますか(笑い)。豊洲で行うにも場所があるかまだ分からないしね」と悩んでいる様子。築地市場協会関係者は「延期になったことで、これからどれだけお金がかかるか分からない。祭りどころじゃないよ」とこぼす。

 これから起きる混乱への小池氏の対応力が問われる。