沖縄・石垣市の尖閣諸島周辺で連日、中国漁船が接続水域を航行したり中国海警局の船が領海に侵入するなどの挑発行動を続けている問題で、中国事情に詳しい評論家の石平氏は「中国は本気で尖閣を強奪しに来ている」と軍事衝突の可能性を指摘した。

 海上保安庁は14日、尖閣諸島周辺の領海外側にある接続水域で、中国海警局の船4隻が航行しているのを確認した。8月に入って中国の公船や漁船の動きが活発化しており、尖閣周辺で中国当局の船が確認されるのは12日連続。

 一方、尖閣諸島北西の公海で中国漁船とギリシャ船籍の大型貨物船が衝突した事故で、海保は14日も行方不明者の捜索を続けた。

 第11管区海上保安本部(那覇)によると、接続水域の4隻は海警2102、海警2166、海警2307、機関砲のようなものを搭載した海警33115。領海に近づかないよう巡視船が警告している。

 6日には尖閣諸島周辺の接続水域で中国海警局の公船7隻が航行し、公船周辺では約230隻の中国漁船が確認された。1978年に約100隻の漁船が尖閣付近に現れて以来で、前例がない大規模なものだ。

 来月には中国開催のG20サミットも控えるタイミングでなぜ示威行動に出るのか。

 石氏によると「習近平氏(国家主席)の外交的失敗に党内でも批判が多いため来年の党大会人事をにらみ、批判の矛先をそらすために日本との緊張関係を作り出す狙いがある」。

 5年に1度の党大会で幹部人事が決まるため、日本への強硬路線で権威を示し、八方ふさがりの外交に対する不満を日本を盾に目隠ししようというのだ。
 6月から続く一連の挑発行為は、尖閣での軍事衝突を念頭に置いた予備演習も兼ねており中国は“本気”だという。

「漁船も軍事訓練を受けた民兵の可能性が高い。先遣隊として民兵を上陸させ、日本の海上保安庁が“漁民”の上陸を阻止しようと衝突になれば、人民解放軍が乗り込んで武力衝突のすえ、尖閣を実効支配しようという算段。漁船や軍艦を送り込んだら日本がどう出るのか反応をテストしているのです」

 尖閣奪取の動きがここにきて加速化した背景には7月にオランダ・ハーグの仲裁裁判所が、中国が主張する南シナ海領有権に法的根拠がないとして、中国の管轄権を認めない決定をした。

「南シナ海で挫折した中国は今後、尖閣を東シナ海で軍事拠点を築く突破口にしたいため奪取を急いでいるのです」(石氏)

 中国の矛先が日本に向かってきたようだ。