【都知事選】盛況だった上杉隆氏の「東京スピーカーズコーナー」

2016年07月30日 17時00分

上杉氏(右)を直撃した藤本氏

【永田町特別ワイド・拡大版】都知事選候補者に政治ジャーナリスト藤本順一氏が直撃する「永田町特別ワイド」は、週末対談「言いたい放談」でおなじみのジャーナリスト上杉隆氏(48)の登場だ。告示直前の立候補表明から怒とうの選挙戦に突入した上杉氏は、ジャーナリストのスタンスを貫く選挙戦を展開していたという。31日に迫った投開票日を前に何を思うのか――。

 藤本:いよいよ投開票日が目前です。この3週間の手応えは?

 上杉:お金がないこともあって、全て新しいスタイルでやってきました。一つは3つのゼロを含めた7項目のマニフェストをつくった。都知事選で問題点の提示、具体的な方法論、期限を切った財源の提示は初です。告示前に各党会派に渡していたので、テレビがいう“主要3候補”の陣営も同じようにゼロを並べて、マネをしてくれたのは光栄なこと(笑い)。政策論争をリードできたのではないか。

 藤本:お金がないといえば街宣車も使っていませんでしたね。

 上杉:マイクも拡声器も使いませんでした。街頭演説や活動で、赤ちゃんの泣き声より大きな声を出すべきではないというポリシーがありました。唯一、トラメガ(トランジスタメガホン)だけを使用しましたが、それも75デシベル以下に設置した。声が小さいとよくお叱りを受けたが、申し訳ありませんでした。

 藤本:街頭演説で、聴衆の中から質問を受け、上杉さんが答えるやりとりが興味深かった。

 上杉:ロンドンのハイドパークに「スピーカーズコーナー」というのがあって、誰でも自由に市長や市議会の問題から、隣のアパートの洗濯物が飛んでくる陳情まで話ができる。それを模して「東京スピーカーズコーナー」と題し、最初はみんな恥ずかしがっていたが、今は質問する人が止まらない盛況ぶりです。

 藤本:ジャーナリストの経験から本当に「聞く政治」をやっていますね。同じジャーナリストでも鳥越俊太郎氏(76)は旧来型の駅前での街頭と大型の会場に人を動員しての演説会で、とても「聞く耳を持っている」とはいえない。

 上杉:誰とは言いませんが、認証と認可の保育所の違いも分かっていない候補者がいて、そこに大政党が乗っかっている。

 藤本:介護するために仕事を辞めざるをえない「介護離職」を、介護士の給料が安いから離職していくと勘違いしている鳥越氏は、本当にご立派。都民のためというが、はっきりしているのは鳥越氏や増田寛也氏(64)は赤坂や高輪の高級タワーマンションから見下ろす都民でしかない。一方、上杉さんは同じ都民でも全然立ち位置が違う。

 上杉:私は80歳になる母親とともに住んでいますからね。あと候補者もメディアも勘違いしているのは、国政選挙と違って都政は知事と議会が両輪となるので、なるべく党派性を帯びない方がいい。国と戦うこともあるので、団結しなくてはいけない時もある。新宿で他の11人の立候補者と“立会演説会”を行ったが、政策論争して、良い政策は当選した候補者がどんどん採用していけばいい。かつて石原慎太郎氏(83)もそうして矢継ぎ早に政策を打ち出せた。

 藤本:残念なことに今回、テレビは特定の3候補ばかりを取り上げ、上杉さんらを排除した。期間中に上杉さんらは民放4局とBPOに公平に扱うよう要望書も出しました。

 上杉:朝から晩までテレビが主要3候補を取り上げていました。多様な価値観があるはずなのに、あたかも3パターンから選びなさいというのはおかしいですよね。都政は自民でも民進でも共産でも、ましてやテレビ局のものでもありません。私は少なくとも、新宿の演説会でともにした11人の候補者の良い政策は共有したい。私への1票は12票分です!と言っておきます。

 藤本:知名度優先ではなく、政策中心の都知事選に周囲を同調させて、渦をつくった功績は大きい。あとは結果を待つのみですね。

☆うえすぎ・たかし=1968年、福岡県生まれ。テレビ局、衆院議員公設秘書、ニューヨーク・タイムズ取材記者、フリージャーナリストを経て、インターネットニュース番組「ニューズ オプエド」アンカー。「NO BORDER」代表。近著に「悪いのは誰だ! 新国立競技場」「淳と隆のなんだかおかしいニュースの裏側」(共著)など多数。