東京都知事選に野党統一候補として出馬した鳥越俊太郎氏(76)が22日、街頭演説で思わぬリアクションを見せた。

 鳥越氏はこの日、有楽町駅前で行われた野党5党による合同演説会に出席。その場で生活の党・小沢一郎代表(74)が「私が一番危惧しておりますのは、近代国家・日本の基本となる言論の自由に対する弾圧であります」と熱弁をふるった。

 鳥越氏は21日発売の「週刊文春」で2002年の「女子大生淫行疑惑」が報じられ、同日に弁護団が公選法違反と名誉毀損の疑いで東京地検に告訴状を提出。一方で「ジャーナリストとして、告訴する前に自分で説明をしないのか?」という報道陣からの問いには「私の口からは控えさせていただく」とダンマリを決め込んだ。

「14年前の疑惑は当時から様々なメディア関係者の間でささやかれていたが、これまで報じられなかったのは、鳥越氏が訴訟をチラつかせていたから。名誉を守るためには仕方ないとはいえ、ジャーナリストなら正々堂々と対峙するべき。今回の対応も、完全にマスコミの武器である『言論の自由』に真っ向勝負を挑むようなもの」(出版業界関係者)

 小沢氏の発言の意図は「政権批判を行った人間が職を追放されている」ことを訴える目的だったが、ある意味で、鳥越氏の自身の報道に対する奇妙なスタンスを浮き彫りにしかねないものだった。

 だが、小沢氏の発言を真横で聞いた鳥越氏は満足そうにうなずき、同意を示した。自身の長所を「聞く耳を持っているところ」としている鳥越氏だけに懐の広さを見せたのか、あるいは並外れた鈍感力を発揮した可能性もある。

 演説では、亡くなった父親が神経症と闘いながら、障害者への支援を行っていたエピソードを明かしたうえで「突然、都知事選に出てきたわけではなく出るべくして出てきた。これは運命です」と断言。弱者へのいたわりがDNAに組み込まれていることをアピールしたが、はたして「弱者のために76歳にして初出馬」という運命は、どのように転がるのか。