【公選法違反公判】田母神被告 保守思想より愛人優先?はがれていく“閣下”の仮面

2016年07月22日 07時00分

都知事選は「舞台で踊っただけ」という田母神被告

“閣下”の仮面が、はがれていく…。2014年2月の東京都知事選を巡って運動員に報酬を払ったとして公職選挙法違反の罪で起訴された元航空幕僚長の田母神俊雄被告(67)の第2回公判が20日に東京地裁で開かれ、驚きの主張でかつての支持者らを落胆させた。弁護人は冒頭陳述で、都知事選での同被告の役割を「舞台で踊るだけの立場」だったと説明。「東京を守る」と訴えていたのは演技だったのか。当時の関係者らの証言によると、田母神被告の関心は政治より愛人にあったようだ。

 スーツ姿だが、髪は乱れ、疲れた表情を見せる。田母神被告は、この日、口を開くことはなかった。代わりに弁護人が冒頭陳述で被告の主張を述べた。問われているのは、田母神被告が選対事務局長の島本順光被告(69)、出納責任者の鈴木新被告(57)らと共謀して、運動員にお金を渡したかどうかだ。

 弁護人は、選対の意思決定において候補者の田母神被告は関わらないシステムになっており、都知事選では「舞台で踊るだけの立場」と説明した。つまり、お金の流れも知らず、共謀もしていないと言いたいわけだ。

 当時、都知事選で田母神被告は“危機管理のプロ”を自任し、「東京を守る」と訴えていた。保守の世界では「真の愛国者」と尊敬を集め、“閣下”とも呼ばれ、カリスマ的存在にもなっていた。講演会のオファーも多数で、著作も多い。それだけ信奉者がいたからこそ、出馬に際して約1億3000万円の寄付が集まり、約61万票を得票した。

 にもかかわらず「踊っていた」とは、まるで演技だったと言わんばかりではないか。当時の選対関係者も「結局、田母神さんの保守思想もビジネスだったんじゃないかと今は思います」と、あきれる。

 別の選対関係者によると、14年の衆院選にも出馬した田母神被告の本命は、都知事でもなく国政でもなく、福島県知事だったという。

「福島県知事選に興味を持っていると聞いたことがあります。田母神さんの出身地でもありますが、それ以上に愛人の出身地というのが大きい。愛人に対する見えがあったんじゃないかな」(別の選対関係者)

 田母神被告の愛人へのゾッコンぶりは選対でも有名だった。

「都知事選直前に田母神さんがいないと思ったら、愛人のところに行っちゃってた。衆院選のときは『選対に入れてくれ』と愛人を連れてきました」(前同)

 選対では愛人を「奥さん」と呼ばせていたという。愛人が選挙カーに乗ったこともあり、周囲をヒヤヒヤさせた。

 衆院選の最中に、本当の妻との離婚裁判についてマスコミから問い合わせがあった。これに田母神被告は「一緒にいることが不愉快なのです」とコメントを発表。

「それだけでなく、コメントと愛人スキャンダルを書いた週刊誌のコピーを選挙ボランティアに配れと指示をしたのです。次の日には、ほとんどのボランティアが来なくなってしまった(笑い)。愛人の目を気にしていたのでしょう」(同)

 無罪主張のために田母神被告は閣下のイメージも捨ててしまうのか。