【公職選挙法違反】田母神被告をかばう気持ちなく「共謀」主張

2016年06月09日 07時00分

田母神被告は追い詰められたのか

 公職選挙法違反(運動員買収)の罪に問われている元航空幕僚長の田母神俊雄被告(67)の公判に先駆けて7日、元出納責任者の鈴木新被告(57)の初公判が東京地裁(家令和典裁判長)で始まった。鈴木被告は2014年2月の東京都知事選に落選した田母神被告と、元選対事務局長の島本順光被告(69)と共謀して、運動員らに報酬を渡したとされている。鈴木被告の主張には田母神被告をかばう気持ちは、みじんもなかった。

 鈴木被告は大きく分けて4点について罪に問われている。田母神被告らと共謀して、(1)島本被告に報酬200万円を手渡した。(2)運動員5人に計280万円を手渡した。(3)ウグイス嬢に30万円を手渡した。ほかに(4)鈴木被告単独の判断で、運動員1人に50万円を手渡したとされる。

 これらの公訴内容について、鈴木被告は「(1)から(3)については事実です。(4)については、渡したのは事実ですが、私一人でやったことではありません」と主張した。すべて田母神被告との共謀だと訴えた。

 田母神被告は今でも否認しているというが、この日の検察側冒頭陳述では積極的な関与が指摘された。都知事選に出るに当たって、出納責任者になった鈴木被告は、田母神被告の資金管理団体の会計責任者も務めていた。キャッシュカードを管理し、お金を引き出せる立場にあったわけだ。

 田母神被告の落選後、島本被告は運動員らに報酬を配ることを発案。誰にいくら渡すかの一覧表を作り、田母神被告の承認を得る。田母神被告は、ある運動員の報酬100万円が低いので額を上げるよう指示。

 さらに、自衛隊仲間の名前を追加して報酬を配ることも指示したという。これを受け、鈴木被告が一覧表に「会長指示自衛隊関係」の項目を付け加えた。

 その後、島本被告が運動員らに田母神被告の了承の上、報酬を渡していく。田母神被告の自宅から一覧表が押収されており、「知らなかった」という主張は難しい。

 鈴木被告の公判では、田母神被告は共犯者として扱われ、田母神被告をかばおうという姿勢は感じられなかった。かつての陣営関係者は「当初、田母神氏は鈴木氏に全部かぶせようとしていました。ほかの関係者が鈴木氏をどう喝して、罪を“自供”させたこともありました」と明かす。

 昨年2月の記者会見で田母神被告は、鈴木被告が政治資金約3000万円を私的流用したことが判明したとして、刑事告訴を検討しているとうそぶいた。「私の監督不行き届きで、このような事態を招き、寄付をしていただいた方には申し訳ない」と完全に鈴木被告のせいにしようとしていたフシがある。これでは鈴木被告がかばう気にならないのも当然だ。

 田母神被告の初公判は27日に行われる。法廷で“閣下”は何を述べるのか。

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